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 これ、とはもちろん飲食類のこと。これでおあいこだね、そういわなくても2人の間では十分伝わるらしく、蓮は笑顔で頷いた。


(………デートくらい、奢りたいし…)


 それから2人は劇場の中に入り、一番後ろの左端に座った。真ん中の方でも良かったのだか、2人きりになりたいという蓮の願いでそうなったのだ。観ずらい場所ということもあってか、周りは人がいなく2人は仲良く手を繋いで映画が始まるのを待った。


「蓮、食べる?」

「ん、一口……あーんっ」

「……ん、」

「んむ。探にしてもろたん、美味しっ」

「そ、そう…」


 パクリと自分の指から食べるその姿に内心ドキッとしたのは、探だけの秘密だ。それから映画が始まるまで探はひたすらにポップコーンを食べ続けた。一方蓮は繋いでいる手をジ…ッと見つめ、強く握ったり離してみたりと遊んでいる。

 手のひらを合わせてみると手の大きさの違いがハッキリし、横に滑らせると指同士が絡み合う。


「んっ……ふふ、」

(蓮…可愛い)


 指でも感じてしまうのか、たまに鼻に抜けるような声を出しながらも嬉しそうに手を動かしていく。そんな蓮を探は愛おしそうに見つめ、ようやく始まる時間になった。

(以下小声)


「ドキドキするねっ」

「うん」

「えと…手、このまんまでも…ええ?」

「……もちろん」

「ふふっ、探大好きっ」


 ……今が暗闇で良かった、と探は心底思った。大声では話せないため、蓮が耳元に口を寄せて囁いてきたのだ。いくら探でも顔が真っ赤になるのは仕方のないことで、それがバレずにすんでホッとしたようだ。

 そして映画本編がようやく始まり、可愛い動物たちが動き出す。すると蓮の手に力が入り、不思議に思った探は蓮を見つめた。


「か、かわええ…っ」


 それはもう、思わず口に出してしまうほど。そんな蓮の方が可愛いと探は内心思い、映画よりも蓮を見つめるようになった。かすかな光で蓮の目がキラキラしているのが分かる。探は繋いでいる手の親指で軽く手を撫で、またポップコーンを一口食べた。

 ……が、それも開始20分には空になってしまい、探はある行動にでる。




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