[携帯モード] [URL送信]

あの村山久が学校に来るようになった。そんな噂…いや事実が学園内に流れるようになったのは、つい最近のこと。もちろん目的は…涼だ。

このたび2人は晴れて恋人同士となり、学園中の話題となっていた。他の人たちはそれに納得がいってないが、久に逆らうことが出来ずにただ好意を寄せていた。そんな…お昼休み。


「……おい」

『んぁっ、久先輩!わぁ…迎えに来てくれたんですかっ?』

「チッ…行くぞ」

『はーい!じゃあまた後でねっ』


周りの視線がウザい久は涼が来るのもまたず、先に歩き出してしまう。だけど本人はそれを気にするようすもなく、海たちに別れを告げてその後を追った。向かう先は屋上。今や2人のテリトリーとなっている。


『んーっ、いいお天気!暖かいですねっ』

「ああ。………飯は?」

『もちろん作ってきましたよっ。じゃーん♪』


用意してきたお昼を久の前に広げ、自慢げに笑う涼。久と付き合ってからは涼がお昼を作るようになり、今では涼はこの時間を楽しみにしていた。


「……………うまい」

『えへへっ、久先輩のために頑張ったんだもんっ』


一口食べ、美味しいといって少し乱暴に頭を撫でる。その無愛想に見えるそれも涼は好きでたまらないのだ。好きな人に美味しいと言われたら誰だって嬉しいものである。


『あ、アスパラもちゃんと食べて下さいっ』

「あ?……いらねぇ」

『ダメですっ!久先輩のためにバランス良く作ったんですから…ね?』

「っ…今日だけだ」


アスパラを口元に出され、ね?なんて首を傾げられたら久だって何も言えなくなる。そのまま涼を食べてしまいたくなる気持ちを抑え、あまり好きでないアスパラにかぶりついた。


『ふふっ、僕ね、久先輩にあーんするの好きっ』

「は?」

『僕だけじゃないんだなって思うと、凄く嬉しくなるの』

「………じゃあお前もやんな」

『…えっ?』

「俺以外に、やるな」


恋人がやってたらムカつくだろ?そんな意味を込めて久がいうと、涼は少し赤くなりながら小さく頷いた。結局久は涼が作ってくれたものを残さず食べ、のんびりとした時間が訪れる。

[*前へ][次へ#]

13/62ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!