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そして次にやって来たのは英士だ。英士が持ってきたライトをツリーに巻きつけ、お昼となった。だが英士はもう食べてしまっているため涼だけが食べる。…英士の膝の上で、英士の手によって。


「はい、あーん」

『ぅぁ、あの……んむ』

「ぐちぐち言わない。ほらもう一口」

『あ、あーんっ』


恥ずかしがる涼にムリヤリ食べさせていく英士。周りに人が少ないのが幸いだ。その後も京一、十夜もやってきた。十夜は1時間だけでなく何時間も暇があるといい、学園の外に出かけることになった。


街のイルミネーションをみて、十夜に連れられてゲームセンターにもいった。クリスマスパーティーは出来なかったが、みんなといる時間があって十分楽しい1日だった。そんなことを思いながら部屋に戻る。


『あれ?十夜……用事はいいの?』

「は?まだ気づいてねーのかよ」

『…?』

「あー…とりあえず入れば?」

『うん…?』


よく分からない。涼は十夜に促されるまま部屋の戸を開け、中に入った。すると…、


「「メリークリスマス!!」」


パンパーンッというクラッカーの音と共に明かりがつき、みんなが笑顔で涼を見ていた。


『え…?え…?』

「ほら涼、こっちおいで」

『あの、京ちゃん?なんで…あの、』

「何ってクリスマスパーティーしようと思うんだけど涼は嫌なのかな?」

『そ、そんなこと…っ!!』


英士にそういわれ、ようやく涼は理解したらしい。始めは目を輝かせていたけど、次第にその大きな瞳が潤み始める。


「「え……」」

『うくっ……な、んでぇ…っ』

「おい涼!チッ…だから嫌だったんだ」

『違、うのっ……だって、用事って…僕一人だって…』

「ごめんね涼君。今年は僕たちが招待したかったんだ」


ほんとはずっと京一の部屋にみんな揃っていた。始めは1日涼に姿を見せない予定でいたのだが、涼のあまりのショックの受けようにみんな1時間ずつ相手をすることになった。

涼の部屋に飾ったツリーはある意味このためにみんなが用意させ、今ある料理は隣の部屋でみんなで作ったもの。飾り付けも出かけている隙にみんなでやったのだ。

それを聞いた涼はさらに泣き出し、ありがとうと何度も繰り返した。

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