2 「隼人、なんか飲む?」 「ああ、じゃあコーヒーを」 「あいよ。ちょっと待っててな」 んー俺はやっぱ緑茶かな。 って玉露あんじゃん。飲んじゃおっと。 これがまた高級なやつで、俺のじゃないから遠慮なく飲んでやろうと準備をしていた。 だけど隼人が後ろに回って、抱き締めてくる。 「っな、なに?」 「いや…新婚みたいでいいなと思ってな」 「はぁ?つか離せ、動きにくい」 「一夜から甘い匂いがするな」 そういって耳の後ろあたりに鼻を擦り付けてくる。 んなとこから甘い匂いするわけないじゃんかっ! 「ン…ちょ、やめ、隼人っ」 「……チッ、まだ終わらないのか?」 「そっちが邪魔したからだろ!?ったく…すぐ出来るから待ってろよ」 「ああ…今の言い方、いいな。すぐ来いよ?」 チュッと髪にキスをし、隼人は戻っていった。……なんだよ…これじゃあほんとに夫婦みたいじゃんか。 ……ってぅあ…なに考えてんだ俺!忘れよう。んで、早く持ってって玉露が飲みたい。 「……お待たせ、はいコーヒー」 「悪いな。一夜のはなんだ?」 「玉露。……っち、あっつー…」 「ククッ、大丈夫か?」 「ん、へーきへーき。……んっ、うわ、うめっ」 なんだこのお茶、今までで一番かもしんねぇ。 久しぶりに満足を越すお茶に出会えて、しばらく頬は緩みっぱなしだったと思う。 だって俺をみていた隼人が微妙にニヤケてたもん。 「一夜、実は今日呼んだのは渡したいものがあったんだ」 「へっ?」 「まずは俺の上に座ってくれ」 「……いやいや、意味分かんないから」 「たまにはいいじゃないか、な?」 「っ……今日だけだからな」 玉露に感謝しやがれっ! 2人がけのソファーに座った隼人の上に、向かい合うように跨った。手を引かれてほぼムリヤリだったけど。 お、生え際が黒い。 「なに見て…あぁ髪か。黒に戻そうかと思ってんだ」 「え、戻しちゃうのか?…俺は結構好きなんだけどな」 「よし、明日染めよう」 「はぁ?…はは、俺が決めていいのかよ」 「一夜だからいいんだ」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |