そして貴方は帰らない / 高杉




戦って、戦って、戦って。
(そうしてあなたの手の中に、)
(一体何が残るというの?)



「…明日かー。」

「嗚呼。」

「蝦夷に行くんだっけ?」

「嗚呼。」

「銀時も」

「……。」

「小太郎も」

「……。」

「辰馬も」

「……。」

「……晋助も。」

「…嗚呼。」

「江戸に残るのは、私だけ、かー。」

「……。」

「ねぇ、私も連れていってよ。」

「駄目だ。」

「私一人だけ、こっちで皆の帰り待って、
のうのうと過ごしてらんないよ。」

「話し合って決めたことだ。」

「……ケチ。」

「仮に俺達が死んでも、お前だけは生きろ。」

「…私を一人にするつもり?」

「みんな、てめぇに惚れてるからな。」

「……。」

「死なせたくねぇんだと。」

「…けは?」

「あ?」

「晋助は?」

「……さあな。」

「…やっぱ、ケチだよ。」

「………泣いてんじゃねーよ。
女みてぇ。」

「いやいや、女だし。」

「…そういや、そうだな。」

「……死なないでね。」

「嗚呼。」

「生きて帰って来てね。」

「嗚呼。」

「そしたら好きって言ったげる。」

「馬ー鹿。」

「……逝ってらっしゃい。」

「逝ってくる。…なぁ、稀有。」

「ん?」

「もし俺が生きて帰って来たら…」

「帰って来たら?」

「結婚しような。」

「…しょうがないから、してあげるよ。」








そして貴方は帰らない
(振り返ることなく、散ってゆく)

<後書き>
そして私は一人で、貴方達を待ち続けるの。




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