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SBX邸の食事事情
 
「おい」
「え? あぁ、イケくん」

振り返ると、蒼髪の剣士が骨付き肉を片手に其処に立っていた

「イケじゃない、アイクだ」
「はいはい、アイクくん。どうかした? 手伝ってくれるとか?」

カチャカチャと泡だらけの食器が鳴る
彼女は手を休めずに、アイクに尋ねた

「でも、手伝ってもらう程は無いな。もう粗方片付いたし」
「俺は手伝いに来たんじゃない」

アイクの言葉に、彼女は苦笑いを浮かべた

「あぁそう…で、何?」
「お前、先刻ちゃんと食ってたか」
「うん、ちゃんと食べたよ」
「嘘だ。子供達の世話ばっかしてて食ってなかったろ。もっと肉食わないと倒れるぞ」
「お気遣いありがと。でもねぇ、肉は…食べられないの」
「食えないって…アレルギーってやつか?」
「そうじゃないんだけどね、…噛み切れないの。食感が嫌で。砕いちゃえば何ともないんだけどね」

食器乾燥機に洗い終えた食器を並べて、スイッチを入れる
手に付いた水をタオルで拭いて、上げていた袖を下ろした
ぶちん、とアイクの口元から肉を引き千切る音が聞こえた

「こら、食べるなら座ってよ。子供達が真似したらどうす」

どうすんの、と言おうとした彼女の口が塞がれた
その内部に、何かが侵入する

「んん、む」
「ん、ん…っは」

口が離れる
アイクの口内にあった肉片は、彼女の口内に移動していた
噛み砕いたそれを飲み込んで、彼女は口を開く

「と、突然何すんの」
「千切ってあればいいんだろ。こうすれば食える」
「だからって…」
「今度からこうやって食わせてやる」
「君ねぇ…あぁもう」

好きにしなさい、と呆れたような声を出して、プイッとそっぽを向いてしまった彼女の顔は、耳まで真っ赤で。
アイクは思わず笑みを漏らした


後日──

「ぷい、ぷ、ぷー!」
「ん、どうしたのプリン゛!?」
「ぷいぷいー!」
「プリンちゃんずるーいっ、僕も食べさせてあげるのーっ」

現場を目撃していた子供達が、見事真似をし出した

「…イケくん、どう責任取ってくれるのかしら」
「……すまん」

◆◇◆◇

原作やった事ないけど好きです剣士さん
でも天使様の方がもーっと好きです

09/01/04

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