Menu:Lunch 〜混合〜
もっと強く
女の子が体育すわりでうずくまっていた。
『ゆきちゃん・・・? 』
名前を呼ぶとびくっとさせてしまった。
篠原ゆき。
肌が名前のとおり白くて、足が細い、陶器のような女の子。
「さよ・・・ちゃん・・・? 」
顔を上げる。
髪の毛がぐしゃぐしゃで全身がびしょぬれだ。
とりあえずなにかタオルを、と思ったが手を拭く用のタオルしかなかった。
『蓮二君! こっちきて』
女子トイレに入るのにためらいがあるのか、少し時間があったがやってきた。
『タオルないかねぇ、できれば大きいの』
「あいにく俺のタオルは汗を吸ってしまっていてな。
綺麗なのはな・・・・・・いや、あるぞ。確か」
少し待ってろ、というとクラスまでとりにいって綺麗なタオルを持ってきてくれた。
『さすがじゃ〜! さんきゅう』
出来るだけ場の空気を和ませるため明るいトーンで話す。
『わしゃっとするよ〜! もふもふ〜』
彼女の髪をタオルで出来るだけ乾かす。
そして全身がびしょぬれなので体操着に着替えるよう促し、一緒にかえることにした。
3人でかえっていて一人だけ体操着はかわいそうだから、私も着替えた。
空気を呼んで蓮二君も着替えてくれた。
『なんか強制的に一緒に帰る感じになってすまないねぇ』
「いや、あの・・・ごめんね。ありがとう・・・」
『なにいってるの。気にしないで〜。
あ、もし良かったら私のお家一回よっていってね』
美味しいご飯、ごちそうするね! なんていうけれど、ただ単にゆきちゃんの洋服を乾かしたいだけだった。
ゆきちゃんが濡れた服もってたら親御さんびっくりだしねぇ。
「きゅ、急にはむりだよ・・・! 」
ちょっとわなわなするけど、くすっとわらってくれた。
よかった、よかった。
『あら、もったいない!
私が腕をふるって料理しようかとおもったのn』
「お前じゃなくて菊さんだろう」
蓮二がつっこんで空気がだんだんやわらかくなる。
私達の会話は弾み、それぞれの家へと帰っていった。
別れ際に、もう一度ゆきちゃんにお家へはいってもらおうと誘ったけれど、ゆきちゃんにやんわり断られてしまった。
ゆきちゃんとはこの日以来とても仲良くなった。
・・・・・・けれど、ただ仲良くなってハッピーエンドというわけにはいかないらしい。
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