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テツの1日

キーンコーンカーンコーン


学校の終了を知らせる鐘が鳴る。
テツの一日はここから始まるといっても過言ではないだろう。


鐘が鳴る数分前から帰宅の準備をする。
もちろん、悠が働く店に行きたいからだ。
部活動に入らないのも、悠に会える時間が減るからという理由から。



鐘が鳴り終わると教師と同時に教室を出る。
その足の速さに陸上部から誘いを受けた事があるが、目指したいのはIHでもオリンピックでもないテツは断った。
理由は上記の通り。


一度、異性からモテるテツが何故そんなにまで、悠に入れ込むのかを二人の関係を知る友人が聞いた。

確かに、何でだろうとテツは思った。
元々男性に興味があったわけでもないし、彼女もいた。やる事やって、それなりに楽しかった。
悠に出会わなければ男と付き合うことなくノーマルな世界にいただろう。

悠は周りの女の子と違い口調は厳しく、毒舌。
女特有の柔らかさもなければ特別可愛い容姿でもないし、助けてもらったなどの恩義もない。

それでも惹かれる気持ちは説明出来ない。

けれど、不意に見せる優しい笑顔だとか、
仕事している時の凛々しい姿だとか
色素の薄い天然のウェーブがかかった髪だとか、
腕にフィットする細い腰だとか、
ぷっくりした唇だとか……



ゴンッッッッッッッ!!!!!!



「…!!……いっってぇ!!!」
「痛いのは俺の心だ。馬鹿。
お前は公衆の面前で何言ってやがる。」

「……え?」




振り返ること7分前。

テツが友人との会話を回想していた頃にはすでに悠の職場に到着していた。

癖とは怖いもので、テツは無意識のうちに店内に入り、帰れと悪態をつく悠に近寄り抱きついていた


そのテツの一連の行動にキレて、手に持っていた分厚いファイルの角でテツの頭を思いっきり殴ったとこで先程の会話に戻る。







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