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世界崩壊
※来神






初めて目にしたとき、嫌悪の念を抱いた。そいつの目は赤色で俺を見ているようで見ていなくて、にやにやするもんだから。
「気に食わねえ」
そう思った。


はずだったのに。



「いざやぁああああああああああああああああ」
「シズちゃんったらまた喧嘩したのー?ほんと短気だねぇ」
全部てめぇのせえだろうが、そうだ、全部こいつが悪い。
俺はただ平和に静かに暮らしたいだけなのにいつもこいつが裏でこそこそしやがってそれで俺を嵌めやがるんだ、俺が悪いわけじゃないのに。
「全部てめえが仕組んだんだろうが!」
「ひっどいなぁ、俺ってそんなに信用ない?」
わざと傷ついた顔して近づいてきて、い、いつもだったらさっさとどっかいちまうくせにその日だけは不用心なのかキレてる俺に近寄ってくるもんだから、だから


あぁ、こいつ、近くで見ると顔整ってるんだ。


なんでかそう思ってしまった。


「あーぁ、こんなとこに傷つけちゃってさぁ」
顔にいつついたのかもわからなく、痛みも感じない傷にあいつは手を伸ばして俺の頬を壊れ物を扱うかのように触った。
傷つけたのは間接的にも臨也であるのに、平和も静けさも俺にくれない手なのに、そんな風に触るから、俺は、俺は。












あぁ今日天気予報で夕方にかけて雨って言ってたかな。
傘を持ってくるの忘れた、仕方ない濡れて帰るかな。そういやシズちゃん傘持ってきてなかったはずだ、ちゃんと帰れたかな。
にしても、頬に触れただけで
「真っ赤になるなんてねぇ」
結構シズちゃんってうぶだねぇ、なんてひとりでくすくす笑って放課後の誰もいない廊下を携帯弄りながら歩く。
はたから見たら気持ち悪かっただろうな、18になる男がスキップして鼻歌歌いながら携帯触って、挙句の果てに転んで。
あぁ、俺もかなり浮かれてるななんて苦笑してどう帰るか転んだところを労わりながら外を眺め、シズちゃんのことを今一度思い出す。
きっと今彼の世界は崩壊しかけているんだろう、明日はどんな手で触れてやろうか。


あきゅろす。
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