キミへの興味は、絶えることを知らない。(折原臨也)
「なまえ、それって何処で買ったの?」
「内緒」
内緒、と彼女は、なかなか口を割らないが、俺も4時間目の授業中に調べた。
だが、どうも下ネタな通販サイトのモノばかりが引っ掛かって、肝心ななまえの大好きなボッキーは見つけだすことが出来なかった。
いや、帰ったらまた調べるけど。
どうやら、もう中身も残り少ないらしく、なまえがボッキーを消化するペースは、名残惜しそうにペースダウンしている。
「ねぇ、箱見せて?」
「だめ」
ぐい、と箱をひったくろうとすると、両手で引っ張り返され、むっと睨まれた。
あれ、怒るんだ。
てっきり、さっきの休み時間の印象から、笑顔以外は表情に出さないイメージが付いていたので、拍子が抜けた。
「欲しいなら、あげる」
どうもカラフルで目立つ、ボッキーの箱から、もう一つの未開封の袋が出てくる。
無地のシルバーの袋。
一袋でも、量があるらしく、密封されている袋はパンパンだった。
「ん、」
これで我慢しろ、とばかりに目の前に押しつけてくるので、なにか意味を吐き違えられている気がしないでもないが受け取る。
完熟いちご味は、珍味ではあっても悪くなかったし、他に何の味があるのか気になるのは自分の性だと思う。
「アナタもボッキーしちゃうかも」
「は?」
女の子に『は?』という聞き返しは傷つける、とか考える余裕は現在、持ち得ていなかった。
傷ついている様子はなかったが、彼女の顔を見ようとすると、何故かぷいっとそっぽを向かれてしまった。
「ボッキーの……キャッチフレーズ」
そう言ったあと、俺の顔色を窺うようにちらりとこちらを向いたなまえ。
え、ちょっと、なに?
いま、顔赤かったよね?
「ねぇねぇ、なまえ!こっち向いて?」
「っ、向かない」
言葉を詰まらせているなまえに、なんだかS心が疼く。
煽られているような気分だ。
「なまえって、本当は下ネタ苦手なの?ねぇ?そうなんでしょ?この前の『いざたんもわたしもボッキー』って、下ネタの自覚なかったんでしょ?違う?ねぇ、なまえなまえなまえっ――、ごふっ!!」
「いざたん、殺すっ!!!」
えええっ、なまえに似つかわない言葉が聞こえた!
しかも、拳までとんできた!
だが、あまり痛くなかったし、加減をしていたのは確認済み。
多分、彼女は殴り合いの喧嘩とかしたことがないんじゃないかな。
殴る前に一瞬の、戸惑いが見えた。
まあ、わざと殴られてみたってヤツ?
暴力も、時には愛にイコールするからね。
だけど、なまえに殴り殺されるのも、本望かもしれないと思った。
キミへの興味は、絶えることを知らない。
(なまえ、い、いはひ!いはひよ!)(いざたんが悪い)
(…っ、なまえって、意外とぼーっとしてるだけじゃないんだね)(!!)
(わ、もう辞めて!ほっぺた痛いから!っ、い゛っ)
100501 キミへの興味は、絶えることを知らない。 中條 春瑠
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