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成宮 天十郎
「運命だ……」

「…へ?」

「おい、そこのオンナっ!」

「は?私…ですか?!」

「俺様のヨメになれぇえ!!!」



こんにちは、みなさん。
わたし、晴れ渡った青空を前にじっとしていられず、春休みだからと浮かれて1人で外に出たんです。

ちょっと街に出たら、神輿なんてやってたんで、それをじーっと眺めてたんです。
すると、その担がれた神輿の中には人なんかが乗っておりましたんで、ちょっとビックリして、興味本位でその人を見つめていたら、その人と目が合った。
そうしたら、彼は血相を変えて、御輿から飛び降り、私の方をめがけて全力疾走してきたと思ったら、肩をガシッと掴まれてプロポーズしてきました。



「か、考えさせてください!!」

「ああー!もう、また―…っ………えっ!?……い、いま…ほ、本当か?!」

「う、うん。だって、だっ…て、貴方のコトよく知らないし……、そういう話って……考えなしに断るのは…失礼っていうか…」

「……お前…っ、ずずっ」

「……え?(ずずっ?)」




「なんていいオンナなんだ!!お前こそ、俺様の運命のオンナだったんだな?!」



「え、え、だから……考え……っ」

「わかった!お前の気持ちは十分に分かったぜ。俺様は待つこともできねぇほど、皿の狭ぇ男じゃねぇ!いくらでも待ってやらぁ!」

「さ、皿…??(器じゃないのかな…?)」

「じゃあな、俺様の運命のオンナ!!また会うときを心して待っていやがれ、てやんでぃ!」

「ええっ?!待った、名前聞いてな………(い、行っちゃった…)」



お父さん、しかも商店街での告白なんですよ?

それに、彼は名前も言わずに駆けていってしまいました。



一体、コレは何事だったの?







「聞いて、慧ちゃん!!わたし、知らない人に結婚を申し込まれたの!」



「…っ…け…、結婚!?」

「うん、プロポーズされたの!『俺様のヨメになれぇえ』って!!」



もう頭の中がメチャクチャで、慧ちゃんの携帯に『いま何処にいる?!』と、電話をしたら『生徒会室だが』と答えが帰ってきたので、急いで家に帰って制服に着替えて学園へやってきた。


そして、重大な問題を(ある意味、お父さんな)慧ちゃんへ、一番に報告する。

けれど、慧ちゃんの反応は、予想外に次元を越えたらしく目を見開いたままで、スポーンと意識が飛んでいってしまったようだ。
いわゆる、フリーズ状態というやつだ。

そんな中で、私の後ろにある扉からひょこっと那智が現れる。



「あれ、湊久葉??休みの日も会えるなんて嬉し――……、」



「慧がフリーズしてるけど…、なにがあったの?」

「湊久葉が…、よ…よよ、ヨメに……」

「………、ヨメ?」



待った誤解しないで!!、と先程あった出来事を2人にきちんと説明する。

その合間に慧ちゃんはやっと正気を取り戻し、難しい顔になりながら熱心に話に耳を傾けていた。
しかし、中でも私が驚いたのは那智の反応。
先程も雰囲気が変わったが、いつになく那智の顔は著しく険しくなった。



「湊久葉、それってどんな奴だったか覚えてる?」

「えっとー、えー……髪は金髪で、ぴゅんぴゅん跳ねてて…短パンで…肌が小麦色……、だった。うん」



「ふーん…、そう」



そう素っ気なく言い放つ那智には、何処か殺気を感じる。

いま、リアルでゾワゾワってしだんだけど……だ、大丈夫かな?大丈夫だよね??



「……聖帝学園の生徒の危機…、この騒動は見過ごす訳にはいかない!生徒会長のこの僕が、今すぐ根絶する!!」

「さっすが、兄さ〜ん!ぱちぱちぱちー!僕も加勢するよ」



や、あの、待った!

彼らを見ている限りでは、彼の命が危ない気が…!!(特に那智が恐い!!)



「わ、私も…――っ」


「もちろん、湊久葉はココでじっとしててくれるよね〜?」




「ぅっ……ハイ」



有無を言わさぬ、那智の笑顔の威圧感に負ける私。
怖気づいた私は、彼らが帰るまでただ彼の無事を祈った。






この後にあの人がどうなったかは、分からないのだけれど………。



「ClassZって…、コレはヤバいかも……。また慧ちゃんや那智に怒られ――……」




「お前は…っ!!この間のオンナだよな?!」

「え、え、どうしてこの学校に……しかも、同じクラス!?」

「やっぱり、お前が運命のオンナだったんだな!!」

「いやいやいやいや、それより無事だったんですか?!」

「今すぐ俺のヨメになりやがれぇええ!!!」



3年生の新学期、早々に彼と再開を果たしました。

無事だったみたいです。



「わぁああああ、急に抱き付かないで下さいいい!!私、まだ嫁入り前なんですからぁあああ!!!」

「……そうか!!そんなに俺のヨメになりたいのか!?ヨメになってくれやがるんだな!?」

「ええっ!??いや、だから!そうじゃ、なくて…!!!」




「何をしている!成宮っ!!」



「…!慧ちゃん?!」



不意に聞こえた、張り上げた声に期待を抱いて振り返る。
そこへ救世主が現れたと思ったが、逆に事態は悪化した。



「今すぐ彼女を解放しろ!!さもなくば、手段も選ばんぞ!!」


「そうそう、大人しく言うコトが聞けないなら………、どうなるか分かるよね?成っちょ」


「なんだと!?出やがったな、方丈兄弟!!俺様のヨメは誰にも渡さねー!!!」



う、うううぅう!!ま、待った!
耳元で叫ばれると耳が痛い!

しかも、彼が私を抱き締めてる腕の力が一層強くなって苦しい。



「っ、だ……助け…!」


「何だと!誰が、貴様に彼女をヨメにやると言った!!聞き捨てならないコトを喚くな!」

「湊久葉をヨメにだなんてねぇ〜…、成っちょもいつまでアホなコト抜かしてるつもりかなー??」



新学期は早々に騒がしくなり、しかもいつのまにやら2人と、この短パン青少年が知り合いになっていました。


私はこの状況下の中で、まだまだ先も苦しめられる羽目となったコトは今でも忘れない。

いや、忘れられない。




090328 中條 春瑠

(この話の前か後に方丈兄弟に『成績が…!!』と喝を入れられる(?)話も、いつか加えますー)


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あきゅろす。
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