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REBORN!短編
反撃開始1827■


気まぐれな雲雀さんを俺のもとに縛っておくなんてはなから無理な話だけれど、俺ばっかりが振り回されるなんて不公平だ。そんな考えのもと、俺は勇気を出して目の前で書類とにらめっこしている委員長に物申した


「雲雀さん、俺雲雀さんがお願いするまでキスさせてあげませんから」


自分でもバカバカしいことを言っているのはよく分かっている
第一この書類が手からすり抜けるのも気にせずに、これでもかという程に目を見開いた最愛の人が、俺とキス出来ないだけでそんなに大きなダメージを受けるなんて保証は何処にもない


むしろ喜ばせてしまうかもしれない


でも、いつもの勝ち気な雲雀さんから一度だけ、一度だけでも「ごめん。好きだよ」という、何とはない告白が聞きたかったんだ−−−

なおも動きが停止したままの雲雀さんに落とした書類を手渡す

「どうぞ。落ちましたよ?」
「あ、ああ。有難う」

目をパチパチさせながら受け取る雲雀さんは今まで見たことがない程にボーッとしている。いつもテキパキと仕事をこなしバッタバッタと不良を咬み殺す彼からは想像も出来ない姿

もしかして、ちょっとはダメージ受けたとか?

今までこなしていた仕事を放り出してハアと溜め息をつき、椅子に深く腰掛けて両手で顔を覆ってしまった雲雀さんに俺は勝利を確信した
何でも雲雀さんの好きなようになんてさせてあげないんですから!少しは俺の気持ちも考えてくれたっていいでしょう?

「これを機に今後は俺のこと、もう少し考えて下さいね…?」

あまりの雲雀さんの変貌ぶりにそう声を掛けて許してあげようと思った時−−−、スゥと息を吸う音が聞こえた

ガタンと椅子から立ち上がり、ツカツカと来客用ソファーに座る俺の前へ歩いて来た雲雀さん。あまりの迫力に「これを機に」すら言えなくなる気持ちの弱さにいかに自分が臆病者を再認識させられる
そして雲雀さんはとんでもなく赤い顔で


「ごめん。ワガママだけどキスさせて?今すぐに」と言った


俺の顔を包むために伸ばした腕も
優しく頭を撫でてくれる指も
寸前まで目を合わせて俺の意志を確認する瞳も。全てがスローモーションに見えた

どうやら雲雀さんから勝利を勝ち取るためには俺にはまだまだ修行が必要みたいだ

 


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