REBORN!短編
特訓 1827■
※現代〜十年後
お腹に響くエンジン音
それを出しているのは本来なら決してそんな勇ましい音のする二輪車など運転してはいけない年齢の……はずな風紀委員長だ
「並盛は僕の庭だからいいんだよ」
以前このままではいつか警察に捕まってしまうと恋人の将来を心配したこともあったが、さらりと大胆な持論を言われ何も言えなくなった記憶がある
結局、並盛の王様には反論出来ず彼の行為を黙認せざるを得なかった
「今考えてみると、あの時からでした。俺が雲雀さんに乗り方教えてもらったのは」
広大な敷地を有するボンゴレアジトに十年前と同じエンジン音が響く
綱吉のことだから汚してもいいような服を着てくるようにと言われたので、仕方なく中学時代のジャージに着替えた
おかげでアジトの上品な敷地と、曲がりなりにもボンゴレのボスという役職に就いている自分の地位にはいささか不釣り合いな状態だ
そもそもの原因は俺がどんなに努力してもバイクを乗りこなせないことにあるのだが
「十年経っても体型も性格も変わらないね」と、笑いながら隣りで乗り方の指導をしてくれる風紀委員長は今や財団のトップ
もうそんな彼の横暴には慣れたつもりだったが、流石に変わらないスパルタ指導にはおののいた
先程から
「うげっ」「ぎゃっ……!!」
ぐらいしか言っていない気がする
「もう、自転車に乗るようなものだよ?怖がらないで。ほらもう一度」
「…………はいっ!!」
数え切れないほど転んだため、体は傷だらけだが十年前からの約束を叶えるために俺は再びバイクにまたがる
約束した張本人はすっかり忘れているみたいだけど−−−−
「雲雀さんがバイクに乗ってる姿、俺すごく好きです」
「……、お互い堂々と乗れる年齢になったらツーリングしようか?」
「…………はいっ!!その時は乗り方教えて下さいね、雲雀さん!」
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