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伸ばして届く青ならば
まっしろは部屋に置いてある雑誌に夢中になっている。
まっしろの後ろに回る。まっしろは気付かない。
まっしろの後ろに腰を下ろし、床に座るまっしろを囲むように足を組む。・・・これでも気付かないとは、一体どれだけ夢中になっているんだ。
胸と背中を密着させてまっしろの肩に腕を回し抱きつく。


「・・・デンジ、さん?どう、か しましたか?」


まっしろが振り向いて答える。
俺は 別に と答えてまっしろと更に密着するように抱き締める。

まっしろは特に気にした様子もなく、組んだ足を直して床に置いた雑誌を膝の上に乗せた。
いわゆる体育座りの体勢になり、まっしろはすっぽり俺の中に入った。


まっしろの話し方は今に始まった事じゃない。
出会った時からこの喋り方だった。

ジムを体育館と勘違いし、トラップをアトラクションと勘違いし、勝手に出てきたアブソルで勝利。

言う事の効かないアブソルかと思ったら言う事効いたし、ジム戦に参加した理由が『バッチ格好よくて欲しかったから』。

・・・。

まぁ 理由はどうであれ、まっしろはこのジムのトラップを気に入り、ちょくちょく・・・いや、かなりの頻度でジムに来ている。
まっしろの到来に嫌がってはいない。そうでなければ、まっしろにこんな事をしない。

「 デンジさん、苦しい です。」

まっしろは雑誌から目を逸らさずに 俺に言う。腕にあたるまっしろの胸が遅く上下する。
俺は更に強くまっしろを抱き締める。ミシミシ と骨の軋む音がする。「デンジ、さん 」 とまっしろは俺の方を振り向かずに そう呟く。



伸ばして届く青ならば


(お前が気付くまで 振り向くまで、俺はやめない。)

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あきゅろす。
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