あなたのかわりの血潮
自分の名前はSpear。彼女から貰った名前だ。
前の主人、Shakespearは自分の事を"アブソル"と呼んでいた。
前、まっしろとValと共に ボケモン図鑑 と呼ぶ物を見た時、自分と似たような者の種族名がアブソルだった。
主人は好戦的であるのに感情を押し殺すのが上手な男であった。
主人の仕えていた主、Valvudyが"破壊"に関する好戦的であれば、主人は"攻撃"に関する好戦的であった。
主人の仕えていた主、Valvudyは世界征服を企んでいた。
主人は止めようとしなかった。
彼の寂しさを知っての事だろう。
だが、まっしろと出会った後、主のValvudyは変わった。
彼はまっしろを欲した。
そして、自分の主人、Shakespearもまっしろを欲するようになった。
しかし主人は主の家来だ。僕だ。ボディーガードである。
家来は主のものに手を出してはいけない。
Shakespearは悩むようになり、自分に話し掛けるようになった。
奇特かもしれないが、自分のいたところでは普通だった。
他に、いたのだ。
そう言うものたちが、ごまんと。
自分はまるで、まっしろとValと共に読んだ本、王様とロバの耳に出てきた、穴であった。
Shakespearはその本に出てきた散髪屋のように、自分に溜った欲の塊を言葉にして出した。
性的な意味は断じて無い。
主人の、男として当然な、まっしろを犯すと言う妄想を聞き、主人の葛藤を聞いた。
主人はValvudyの僕としての役割と男としての欲との葛藤と闘い続けた。
その結果が、自分と合体した、と言う事であろう。Valvudyに続いて。主を守ると言う僕の役割を果たす為に。
主と合体した後、主人の考えが自分の中に流れこんだ。
Valも、きっとそうであっただろう。
まっしろが寝静まった後、Valと互いの主人について話し合った後、ぽつりとそう言う事を言ったのだ。
主人はまっしろに惹かれていったが、犯すと言ったことはしなかった。
それは、あの男、自分達を外に連れ出した人物が邪魔した所為であるかもしれないし、主人自身踏ん切りが着いてなかったかもしれない。
主人も主、Valvudyと共に亡くなった。
自分はまっしろの手持ちになったが、Valのように狂愛する程貴方を慕ってない。
好きだ。だけど、意味が違う。
あなたのかわりの血潮
死んだら元も子もない。
貴方を守れないじゃないか。
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