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◆名を呼んで(元親)



「名前」



名を呼ばれた。
振り替えると、キスが降ってきた。


「名前」

「も、元親?」

「名前」


元親は何度も何度も、私の名を呼びながらキスをした。抱き締める力が強くなって、それが愛しくて、普段は彼のシャツを握るだけの手を開いて、彼の首に腕を回した。


「好き」

「名前」

「好きだよ、元親」


恥ずかしいけど、頑張って、ぎゅって力を込めた。どのくらいキスを繰り返したんだろう。


「名前」


元親が私を見つめる。
シュル、と首もとで衣擦れの音がした。


「ちょ、」


見れば元親の手がゆっくりと私のネクタイをほどこうとしていた。
思わず手を伸ばしかけたら、元親は動きを止めてまた私を覗き込む。その目に写る、これからの意味を知らないほど、私は子供じゃない。でも、



「名前」


結局私は、彼を止めるなど、ましてや拒むなどできるわけもなくて、伸ばした腕を彼の手に添えて、シュルリとネクタイをほどいた。




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あきゅろす。
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