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◆本能は正しかった(佐助)



ちょっと待って俺様。
一旦深呼吸して落ち着こう。


今は何時だ?夜の7時。
部活が終わって、名前に伝えたいことがあるから野球部の部室まで来たんだよね


名前っていうのは俺様っていうか旦那の友達。竜の旦那と同じ野球部で、男にしてはやや小さいんだ。そのくせに旦那並に大喰いだからホントあの体のどこに入んのかって感じ。
野球部だからって丸坊主なわけじゃなくて(いやむしろ坊主な野球部なんて逆に貴重だけど)、どちらかと言えば長いのかもしれない。何て言うのかな、竜の旦那の髪型をもう少し短くして寝癖がぴょんぴょん跳ねてる感じ。ちょっとかわいいなぁとか思ったんだけど、さすがに男にそれはないよなぁ。
旦那と名前がいつ仲良くなったかは知らない。ホントに気がついたらいたんだよ。で、必然的に俺様も仲良くなったって訳。
表面上はね。

名前には、いつもどこかに違和感があった。旦那とか、竜のとかとは違うというかなんかムズムズするっていうかドキドキするっていうか、とにかくなんかおかしかったんだ。
それがなんなのか、何を意味するのか、俺様にはとんと分からなかった。つーか分かりたくなかったんだ。(だって俺様にソッチの趣味はないハズだし!)



で、今に話を戻すけど、野球部で残っているのは名前だけってさっき竜の旦那から確かに聞いたんだ。


なのに、なんで、


部室の扉を開けた先に居たのが女の子だったんだ


バタンとすぐに扉を閉めたことをすごく後悔した。
見間違いじゃないのか確かめられないじゃん、仮にホントに女の子だとして誰だよ誰なんだよまさか名前の彼女とか彼女とか!?
うわぁ、もしかして俺様大変なときに来ちゃった!?
だってだって、俺の目と記憶が正しいなら、あの女の子、服着てなかっ


「猿飛ー?」

「うわっ、はいっ!?」


ちょ、声が裏返った。

ガチャって音がして思わず顔をあげたら、そこに居たのは名前。
案の定、着替えの途中だったみたいで、上は着てな、い……


「何やってんだよ猿飛。なんか俺に用か?伊達ならもう帰ったぞ」

…………名前、だよね。

目の前の光景に思わず絶句した。あっちゃいけないハズの物が、そこにはあったよ。開いた口が塞がらないってこういうことかな。


「さーるーとーびー?」


目の前でブンブンと振られる小さな手のひら。そこを辿ると日焼けしてない滑らかな、小さな剥き出しの肩が目に入る。そして視界に嫌でも入るその胸には――


脳がある一つの結論に至ったとき、とにかく俺は叫ばずにはいられなかった。


っ、服を着ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!



本能は正しかった



(猿のヤツ、今頃腰抜かしてるだろうよ)
(あぁ?まだあいつ名前が女だって知らないのか?)
(まぁな。実際野郎共の中で平気で着替えようとする奴だ。行動から分かれってのは無理だろうな)



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