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どうしても聞きたい(鴇甘)





寒い

寒い

「寒すぎる!」

私は今、鴇の家に来ている。
ところがその本人は急用で友達とちょっと会ってくる、と言って私は置き去りにされた。
でも、もう限界。
あまりの寒さに鼻水がさっきから止まらない。
一体、こんな時に鴇は何をやってるんだ。
彼女が布団にくるまって、こんなにも凍えてるというのに。

「あ゛ーもう無理ぃ!」

やけくそに叫ぶとタイミング良く、玄関の鍵の開く音がした。
私は布団を投げ捨て、玄関に走ると虚ろな目で彼を見つけた。

「鴇!」

私は鴇に思いっきり抱き付いた。

「うおっ、оооごめん、寂しかった?」

鴇はそう言って頭を撫でてくれるけど、私は今それどころじゃない。

「違うー、さぶい…はなびずが…」
「ちょ、ооо…俺で鼻水拭くなっ」
「鴇は、私の事本当に好き?」
「はい?」

何言ってんの、と鴇は私の背中に腕を回しながら言う。
鴇の気持ちは分かってる。
けど、今まで私が一方的に好きって言ってばかりで鴇の口から聞いた事がない。ちゃんと言ってくれないと不安になるのに。

「鴇の口から直接聞きたい」
「う…」

何で?何で躊躇うの?
鴇の事…私は本気で大好きなのに。

「俺には…言えね!」

顔も見せずに私を抱きしめたまま言う鴇の声は真剣さを少しも帯びていなかった。
もしかして、照れてる…だけ?

「もう馬鹿!!」

鴇を突き飛ばした。
彼は壁に頭をぶつけ、その痛みに顔を歪ませた。
心配して損した。
鴇の意気地無し。

「て…」
「私は鴇の事本気で大好きなの!好きで好きでたまらないっ。だから…」

急に温かい鴇の匂いに包まれ、再び抱きしめられた。

「大好きだよ、ооо。愛してる」
「え?」
「もう言わない!」

ずるいよ、鴇。
ちゃんと耳に残しておきたかったのに。
女の子はこういう事は大事にするんだよ。
「ごめん、ооо。言うのが恥ずかしいなんて情けないよな」
「うん」
「って、正直に頷くなよ」

顔を上げたら鴇と目が合ったから笑ってやった。
あんなに辛かった鼻水はいつしか治まっていた。
立ち直り早っ、と言うと鴇は私を壁に押し当て、優しく唇を重ねてくる。

再びその愛を確かめあった。

「んっ…鴇…」
「ооо…」

二人だけの甘い時間は、終わりがくることを知らない。




この後、初めて鴇においしく頂かれちゃった私は一日中火照りが治まらなかった。

(鴇なんかどっか行っちゃえ)(でも良かったでしょ)(…恥ずかしすぎる)




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