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ほら、春がやってくる(紺甘々)





「ооо、花火やろうぜ」
「え、まだ冬終わったばかりだよ?」
「ノリ悪いな〜お前」

春。いや、冬か。
この際どっちでも良いけど、私たちは近所の川に来ていた。
紺が急に花火をやりたいと言い出すもんだから、幼なじみの私は一緒に行く羽目になった。
夜に親から外出許可を取るのは普段は難しいけど、紺と一緒って言ったらすぐに許してくれる。

ふと、紺がライターを取り出すのに目がいった。

「紺…何でライター持ってんの」
「そんなにおかしいか?」
「お父さんのだよね、そうだよね」

「いや、俺のだが」
「えぇ!紺、煙草にまで手出してんの!?」

さあな、と紺はいつものように落ち着きはらうと花火に火をつけ、私に渡してきた。

「あ、あありがとう」

手渡されたのは小さな火をぶら下げた線香花火。
そういえば小さい頃、紺とよく一緒にやったっけ。

こうして二人並んでいると、すごく落ち着く。

私やっぱり紺の事が好きなんだ。
横顔を見つめていると、視線に気付いたのか、紺と目が合った。

「あ、あのさ紺」
「知ってる」

知ってるって、まさか鴇が密告したとか…

「え、まだ何も言ってない…よ!」

目の前に紺の顔がきたと思ったら、唇を奪われた。
ほろ苦いけど、とても甘い口付け。
紺の不意打ちに顔が火照っているのが分かる。

「…私、初めてなんだけど」
「良かったな、初めてが俺で」
「自意識過剰」
「そりゃ、どうも」

夜で良かった。
だってこんな顔見られたら恥ずかしいもん。

今なら言える、そう確信した。



「好きだよ、紺」

「おう」


まだ冷めない熱を隠すように、膝に顔を埋めた。



(でも俺の方が先に好きだったかな)(そうだったの!?)






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あきゅろす。
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