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いち!



「放送部が廃部になったわよ」


「ぶふっ!ごほっごほっ」


あまりのことに牛乳吹き出してむせちゃったじゃねえかよちくしょー。

「だ、大丈夫?」
「う、うん…」

我が北高の生徒会長兼私の友達の尾張美弥子ちゃん(元凶)が、心配そうに覗き込んできた。
やばっ!牛乳かかったら制服が臭くなるよ…。牛乳は強烈だからなぁ…。

「てか廃部って?!」

「この前の会議で、放送部は何もしてないのに部費貰ってるって話が出てね」

「うそ!?」

「本当」

「えー!」

あからさまに落胆した様子の私を見て、美弥子ちゃんは不思議そうな顔をする。

「なんで優樹がそんな落ち込んでんの?
 優樹って放送部の部員は部員でも、幽霊部員でしょ?」

美弥子ちゃんは、やっぱり不思議そうな顔をする。
そう。私、神戸優樹は幽霊部員なのだ。

この学校は、絶対に部活に入っていなければならないという訳じゃないから、別に幽霊部員の部活が廃部になっても痛くも痒くもない筈。

と、普通なら思うでしょう。
でも、私は違う。
放送部が無くなってしまうと、とても困る。
だって…



「諫早と会えなくなる!」




そう!放送部は諫早はとばの隠れファンである私の、彼との唯一の接点なのだ!

……なんか美弥子ちゃんが凄い顔で見てる。

「なんでそんな微妙な顔なのよ」

「いや、だって諫早も幽霊部員でしょ?」

「そんなことは関係ない!」

「ないの!?」


諫早は時々思い出したようにやってくるから、まだ会う機会があるけど、放送部がなくなってしまったら数少ない接点がなくなってしまう!

「友達の恋を応援しようとかいう気はないわけ!?」

「そんなこと言われても…会議で決まったことだし」

「むー。…そういえば赤福は?」

そうだ、放送部には例のあの忍者野郎・赤福すずかがいたじゃん。

「忍ジャーなら泣いて部室に帰ったわよ?」

「なっ!あの意気地無し!
だからあいつはダメなんだ!」

赤福ダメダメじゃん!だからなめられるんだよ!

「誰だよお前」

「とにかく、廃部なんて認めないから!ちょっと赤福のとこ行ってくる!」

私は立ち上がるとダッシュで放送室まで走って行った。

「い、行ってらっしゃい」

後ろで美弥子ちゃんが言ってた気がしたけど、とりあえず放送室へ!


「私の恋の為に!」






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あきゅろす。
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