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「パク!おはよ!」
「あら、シャン。今日は早起きね」

またしても普通に返されたことにシャンは自分の実力に凹んだが、気を取りなおして先ほどと同じように質問をした。

「あのさー。今日、何の日か知っとる?」
「今日……?」
「うん」
「そうねぇ……何かあったかしら……」

やっぱりパクも知らないかぁと、お礼を言って部屋を出ようとしたシャンだったが、パクノダの一言に振り向いた。

「そういえば……クリスマスイブだったわね」
忘れてたわ。というパクノダにシャンは目を光らせた。
しかし次の瞬間、シャンはガックリとうな垂れた。

「まぁ、私達の中で神を信じてるなんて人いないから、関係ないことだけれど」
それに恋人達のイベントだしね。と言った。
言い終わった後、シャンの雰囲気が変わったことにパクノダは気付いた。

「……どうしたのシャン?」

雰囲気が暗くなったシャンに声をかける。
しかしシャンは笑顔で「なんでもない。大丈夫やで」というと、お礼を言ってパクノダの部屋を後にした。




シャンはアジトを後にして街を歩いていた。

街にはクリスマスソングが流れ、楽しそうな顔をした人々が行き交っている。
店や通りも飾り付けをして、街全体がクリスマスを祝っていた。
シャンはそんな人々や店を羨ましそうに見る。

「そうだよなぁ……天下の幻影旅団が神様なんて信じとるわけないし、
ましてそれを祝うなんて……せーへんよなぁ……」

そう呟きながら前を歩く楽しそうな家族を見て
本日何度目となるかわからない溜め息を付いた。

初めてクリスマスを人と過ごせるかもしれなかった。
……しかもとても大切な人達と。
その期待も最早消えてしまった。

「はぁ……やっぱり世の中上手くいかんわ」
と自重気味に言うとふと下を向いていた顔を上に上げる。
その瞬間、暗かった気持ちはなんのその、一気に吹っ飛んでしまった。


「うっわぁー!すっごーーーい!!!!!」


わーわーと子供みたいにはしゃぐシャン。
その視線の先には綺麗に飾りつけされた大きなツリーがあった。
大きなモミの木の存在感、そこに飾り付けされた色とりどりの飾り。
そして、一番てっぺんにある金色の大きな星。
シャンの心を奪うには十分だった。
夜になったらもっと綺麗なんやろうなぁと思いながらそのツリーをじっと見つめる。


シャンはしばらくツリーを見上げながら佇んでいた。
そんなシャンを見ていた人物がいたことに全く気付かずに……




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あきゅろす。
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