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「うっわー……」
「すごいな、これは……」
「思ったより積もったね」

外の景色を見てそれぞれ感動の言葉を紡ぎ出す。
さっきまでチラチラとしか降っていなかった雪が、いつの間にかあたり一面を真っ白にしていた。
夜のはずなのに明るい。

「すごっ……!ホワイトクリスマスやん!!!」

シャンは感動の声を上げる。
今まで南の方で暮らしていたシャンは、雪が降ることはあっても積もるのを見たことはなかった。
なのに目の前は一面真っ白。
世界の色が今だけ穢れのない『白』ただ一つになってしまったようだ。

「これもすごいが……シャン。裏に行くぞ」
「わ……!」

感動していたところをクロロに急に腕を引かれ驚くシャン。
何事?!という顔をしてクロロを見上げる。
クロロは着いて来いとだけ言ってアジトの裏に向かって歩く。

そして、アジトの裏に回った瞬間、シャンは信じられないものを見た。


「…………なんで、これがここに……」


それは、先ほどシャンがじっと見つめていた大きなツリーだった。
街にあった時よりも雪を被っているが、あんなに見惚れたモノを間違えるわけがなかった。
街にあったはずなのになんで……?とシャンの目は点になる。
他の団員達も裏に来て驚きの声をあげた。


「……さすが団長、綺麗だわ」
「やるなぁー!」
「これは見事だ」
「あはは。それで団長、シャンの後つけてたんだ?
こんな大きいモノ盗ってくるなんて珍しいね」

「!!!」

『後つけてた』と『盗ってくる』そういったシャルナークの言葉にハッとする。
そして、ちょっとクロロを牽制してみた。

「街のツリーを盗ってくるか?普通……皆のもんなのに……」
「……ダメだったか?」
シャンが否定的な言葉を発したので、喜ぶと思ったのだが……とクロロはちょっと残念そうに言う。
しかし、シャンは『盗ってきた』というより『つけて』きてまで自分の欲しいものを渡そうと思ってくれた気持ちが、本当に嬉しかった。
そして、少し無言でツリーを見つめた後、クロロを見据える。
そして、幸せそうな顔で笑った。

「ホンマにありがとう……あたし、幸せやわ。
皆もありがとう!!」

と、幸せそうに言うシャン。
そんなシャンを見て、神なんてどうでもいい。でもクリスマスを祝うことにしてよかったなぁ……と幻影旅団全員が思ったのだった。


「寒くなってきたから、そろそろ戻りましょう」


というパクノダの掛け声で部屋に戻る団員達。
最後にツリーのそばを離れたシャンは、ツリーが見えなくなる前にツリーと白い大地に向かって微笑んで言った。

「神様。あたしが一番欲しかった、大好きやと思える人達をくれてありがとなぁ」

そう言うと部屋の中へ戻って行った。



その後、ケーキを食べたり、シャンパンを飲みながら夜中まで騒いだのはいうまでもない。





END...

⇒おまけ


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