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3-2
逃げようと散々色んな手を尽くしたが、結局クロロに捕まり、ソファーに座らせられるシャン。肩をガッチリと旅団員二人に押さえられているので、逃げることは不可能だ。
目の前に座りシャンをじっと見るクロロ。シャンを睨む回りの目。シャンはホンマに帰りたい〜と内心暴れていた。

「さて、これで俺とコイツが会った経緯はわかっただろう」

クロロが静かに昨日の経緯を話し終えるとシャンの肩を押さえている一人、ちょんまげ頭のノブナガがシャンを上から指差す。


「じゃあ、コイツは団長の絶をつかんだってことだ」


その声は驚きが含まれている。自分がクロロの絶をつかんだことはない。いや、自分以外の団員もクロロの絶をつかめる奴なんていないのではないか。

「まあ、そういうことだな。本気でなかったにしろ俺も驚いた」
「それはすごいね」

クロロに続き、先ほどの金髪の男、シャルナークも素直に関心の声も上げる。先ほどの自分と仲間が攻撃した時も驚いたが、大分の実力者のようだ。

「ふ〜ん。まあ、それはわかったよ。けど、ここに来たのはなんでだい?急にアジトの近くて気配が現れたから驚いたよ。」
決して警戒は解かず、話が飛び交う。そんな中、桃色の髪をしたマチはシャンに問う。


「えっと、何度も言ってますけど、商売をしに。」


何度目だと思うほどに理由を答える。ここの人たちはそんなに自分が商売をしにきたという理由で納得できないのか。まあ、確かに商人と偽る暗殺者もいるのかもしれないが。

「その割には逃げたじゃないか。」
「幻影旅団のアジトだと分かって逃げない人はいませんよ。」
淡々と答えるシャン。先ほど驚いた時についつい出てしまったセルク語を引っ込め、仕事口調で話す。


「そういえば、商売というのは何だ?」


先ほども訊かれたが答えていなかったことに気付く。
もうええわ、こうなったら蜘蛛から仕事取ってやる。開き直ったら勝ちとは言わないが、シャンの開き直りは早くて正確。決めてしまったら、先ほどの逃げようとしたことはすっぱり忘れ、商人魂の気合いを入れる。

「ダムド商会の武器商人をやっております。それで、武器を売り歩いています」

「ほう」

クロロは口の端を上げた。数秒前とはまるっきり違った、別人のようなしっかりした態度。商人の目をしたシャンを正面から見る。

「ダムド商会とは、大きく出たな。あそこは闇業界でも5本の指に入る大商会だ。お前みたいな子どもが入れるのか?」
クロロの黒い目に試されるように見られ、シャンは笑う。旅団と取引するのだったら、本当のことを言ってしまった方が良いだろう。

「ええ。なんと言ってもダムド商会のトップは私ですから。」

シャンとクロロのやり取りを黙ってみていた団員だったが、今のシャンの言葉に黙ってはいられなくなる。


「はぁ?どういうことだよ」
「胡散臭いね」
「さらに大きく出たな」

周りから野次が飛ぶ。
しかしシャンはクロロを笑顔で真っ直ぐ見ていた。

「ははっ昨日から変なヤツだと思っていたが、ダムド商会のトップか。通りで肝が据わっているな」
「それはどうも」
クロロは笑った。シャンも笑う。
団員が納得できないという顔をしているのを見て、クロロは言った。


「ダムド商会を若い女一人が経営しているという話を聞いたことはないか?」


クロロに言われ、ようやくハッとする団員。確かに聞いたことがある話だ。

「確かに聞いたことはあるけど。ソイツが頭だという証拠がないんじゃない?」

マチに言われ、シャンは胸元から闇業界トップ5商会の証であるカードを右手に持ち、マチに向け見せる。
世界で5枚しかないそのカードはもちろん各商会のトップが持っている。

「これで信じていただけました?」
笑顔で問うシャンに一瞬驚くが、マチは顔を緩める。
「ホント良い度胸してるよ。そんなに大っ広げに出して盗られるとか思わないのかい?ここがどこか分かってんだろ」
「そうですか?盗られても盗り返しますよ」
さらりとすごいことを言うシャンにマチはクスクス笑う。あんた気に入ったよと笑顔を見せた。

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