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2-2
「失礼しま〜〜〜す!!どなたかいらっしゃいますかああ〜〜〜??」


急に自分たちの敷地内で気配が現れ驚いて飛び出してきたのはよかったが、相手は目立つところで仁王立ちをして立っていた。まるで襲ってくださいと言わんばかりに。

だが、逆にそれが怪しくも感じる。
相手の出方を見ようと待機すると突然対象が叫んだ。少女特有の高い声に『失礼します』という訳の分からない掛け声。
3人は顔を見合わせる。それからここにいても仕方ないと相手に姿を表した。


相手がこちらに来ているのを確認するとシャンがお辞儀をしながら笑顔で声をかける。

「初めまして。私ダムド商会の武器商人です。
良い武器があるので是非トップの方と直接お取引のお話をさせていただきたいのですが。」

商売中はセルク人特有のセルク語はしまい込む。その辺はプロの商人だ。

「それ本気で言ってるの?」

3人のうち一人が怪訝そうな顔をしながら返答する。
金髪の好青年で、まさかそんな綺麗な人が出てくるとは思わずシャンも驚く。
向かって右にいる黒髪の小柄な人物は鋭い目で睨み、シャンに殺気を向けまくっている。少し小さいことを除けば、シャンのイメージしていた相手はこんな感じだ。
反対側の人物はこれまた予想外でピンク色の髪を高い位置でくくった女の人であった。
女も黒髪に負けておらず殺気が飛んで来ている。

「もちろん本気の発言です。商人の証書お見せいたしましょうか?」
「……それはどうでもいい」

本気で殺気を飛ばしているのにまだ飄々としているシャンに金髪の男の顔も少しイライラしているように見える。

「回りくどいね、シャル。もう殺ていいか?」
「……いや、真意を問い出してからだよ。」

不用意に名前を呼ぶ仲間に一瞬ぎょっとしたようだが、まあ殺す相手なんだから聞かれても平気かと、金髪の男はそれについて口を挟むことはしなかった。

へ〜金髪さんの名前はシャルか。
ニコニコと愛想の良い笑顔のまま立っているシャン。男達の掛け合いを見ているが、チラリと後ろの女の方にも目を向ける。
もちろん見ていることを気付かれないように細やかに。女は先ほどから何かしているのは間違いないようだ。
前の男たちに隠れ見えないようにしているが、密かに指先が動いているのがわかる。
ここまでの流れでシャンは相手が相当な手練れであることはわかっていた。相手のオーラはとてつもなく精錬されている。
これは大当たりかもとニヤリと笑った瞬間、シャンの身体がピクリとも動かなくなる。


「!」

「かかったよ!」

シャンが息を呑んだ瞬間、女が叫ぶ。それを合図に男二人が飛びかかってくる。
真意を聞き出してから、と自分が言ったこともあり、
金髪の男は気絶させようと一瞬にしてシャンの背後に回ると首の後ろに手刀を落とす。
鈍い音がしたと共に、黒髪の男がシャンの腹目がけ、鋭い蹴りを入れる。
もう一つ、鈍い音が当たりに轟いた。


「「……っ!」」


次の瞬間男二人は痛みに小さい声を上げる。女が驚いたように二人を見た。男はそれぞれ手と足をさすっている。
しかも蹴りを入れられたのに、シャンはビクともしていない。女の念で縛られているにしても、一つも動かないわけではない。
一瞬沈黙ができるが、また少女が笑顔で間抜けな声を出す。

「あ〜〜ビックリした。いきなりひどいじゃないですか。」

「「「……」」」


なんともない少女を唖然とした顔で見る。
「二人とも手抜いたのか?」
女が不思議そうに尋ねるが、男二人は首を振る。

「一撃で落とそうと思ったんだけどな〜」
「ワタシも本気の蹴りだたね」
「ということは……」
言いながら金髪の男はシャンに近づいてくる。

「きみの念能力かな?堅の防御でも飛ぶには飛ぶだろうしね」
冷静に分析し、シャンに問う。
「そんなとこです♪」
近づいてきた男へも怖じ気づくことなく笑顔で答える。どんな神経してるんだろとちょっと呆れ顔になる金髪の男。体の自由は利かないはずなのに、まだ飄々としている。

「怖くないの?」
「いえ。商売柄慣れていますので。」
「…ふ〜ん。本当に武器商人なんだ」

きっぱりというシャンに先ほどの話は本当だったのかと、納得する素振りを見せる男。
しかし、再度殺気を出し睨み付ける。

「で、本当のところは何しに来たの?」
「先ほども言いましたが、武器を売りに来ました。トップの方にお会いさせていただけますか?」
至近距離で殺気をぶつけても一向に怯える様子はない。しかもトップに会わせてくれと頼んでくるシャンに、金髪の男はお手上げのポーズをとって黒髪の男に目を向けた。


「フェイ。オレじゃ無理っぽい。後は任せた」


黒髪の男は待ってましたと言わんばかりに喜々として了解の行動を取る。
「マチ。中に連れていくよ」
フェイと呼ばれた黒髪の男の声が響いた。






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