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へんへん。
日曜日
 特にやる事もない二人が、最早行きつけとなりつつあるファミリーレストランで、時間を潰していた時の事だ。
復習をしっかりとこなしていく長塚を尻目に、向山は思い出したかの様に「あ、」と小さく声をあげる。
そして、しばらく唸ってから、怖ず怖ずと長塚に尋ねた。

「ガッツ、日曜日って暇?もし暇なら、俺とどっか行かない?」
「そのニックネームまだ続いてたの……って、日曜?」

長塚は拍子抜けしたかの様に問う。
すると向山は躊躇いがちに頷いた。

 日曜日。駅前のコンビニで待ち合わせた二人は、微妙な距離を保ちながら、やはり何をするでもなく、街の中をぶらりぶらりと歩いていた。

「今日、家に母さんの恋人が来るからさ、ちょっと出てて、って」

言われちゃってさ。何でもない他人事の様に言う向山に、長塚は自らの眉間に皺が寄ってしまうのを隠さない。
今は、二人しかいないからだ。

「咲って、母親と二人暮らしなんだ?」

そう言えばお互いに身の回りの話なんてした事なかったな。
苦笑いをしながら向山がそう言うと、長塚は少しだけ眉間をゆるめる事が出来た。

 帰り道、向山の家へと向かう真っ直ぐな一本道を歩いていると、長塚はある事に気づいた。
何時もなら、鼻歌でも歌いながら前へ前へと進んでいく様な向山が、自分の数歩後ろをゆったりと歩いていた。
急にふと立ち止まった長塚は、背後を振り向かずに尋ねる。

「咲。もしかして、家に帰りたくないんじゃない」

ぎくり。あからさまに二三歩後ずさると、向山は小さく肯定する。

「多分、今日は一日中居ると思うんだ。母さんの、恋人」

邪魔しちゃ悪いよな、そう言う向山に、長塚は今度こそ振り向いて口を開く。
決めるなら、今しかない。そう感じとったからだ。

「僕の家に、泊まりにおいでよ」

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