アオソラ
僕と告白
昼休み。委員会の仕事なんて、なくなればいいのに。
僕はカウンターに頭を乗せて、独りでにふてくされていた。
ふん、ぎゅうぎゅうの図書室に本目当ての生徒なんてほとんどいないから、僕は座ってるだけでいいのだ。
まあ、本を借りるとしても、どっかのただの物好きだけだ。
「図書委員さん。真面目に仕事やらないと駄目ですよ」
うとうとと寝ぼけ眼で図書室を見回していると、不意に誰かに声をかけられた。
その声は、今日一番聞きたかった声にとてもよく似ていて、僕は思わず顔をあげる。青山と、ばっちり目が合ってしまった。
「あ、青山君。どうして」
どうして、今朝は無視したのに。
続きを言おうとすると、彼は何を勘違いしたのか、はい、と頷いて本を出す。それは、先日借りた本だった。
「読み終わってしまったので、返却はこちらでよろしいんですよね」
ね。そう微笑む表情は、どことなく他人行儀で、少しだけ寂しくなる。
僕は、そんな青山を見ていたくなくて、なるべく目を逸らす様に本を受け取って、そうして、そんな自分に嫌悪感を抱くのだ。
青山は、僕の心を知ってか知らずか、カウンターから離れようとはせず、僕は僕で、何も言えずに座っているしか出来なかった。
すると彼は、ふとはにかんだと思うと、そのまま真っ直ぐに僕を見つめた。
「川島、昨日は本当にすみませんでした」
何時もと違う、浅いお辞儀をして、青山は謝罪を繰り返す。
止めてくれよ、何で謝るんだよ。
やっと会話出来るのに、それじゃまるで……僕が返事に困っていると、青山は自問自答する様に苦笑いをした。
「やっぱり、俺は君を、困らせてしまうだけなんですね」
違う。困っているのは、アンタが言っている意味じゃない。
声が聞けるのが、こんなにも嬉しいのに。
僕は、違うんだ、としか呟けない。
「やっと分かったんです。俺と君は、友達で居る方がいいって事に」
じゃあ、また午後の授業で。
そう言って立ち去ろうとする青山を、僕はようやく絞り出した声で、呼び止め、彼の袖を掴んだ。
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