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アオソラ

 この際、全部話してスッキリしてしまえよ。
斉藤さんの目が、そう言っている様な気がして、僕は思わず俯いてしまう。
新しく淹れられたコーヒーの湯気は、何も知らない風にほかほかと溶けていく。

「同性……」

そうだ、未だに口に出来なかった問題だった。
僕は、それをうっかりとこぼしてしまった。
勿論それを、斉藤さんが聞き逃す筈がない。

「同性?大空君、同性関係で何かを悩んでいるんですか?」

正に告白されてしまった訳ですが。
それを、言ってしまって、斉藤さんはどう思うだろうか。
表では、きっと何もないだろうに振る舞うだろうけど、内心では……。僕は迷いを断ち切れないままに、口を開く。

「同性の、友人だと思ってた奴が、急に告白してきて」

どうしたらいいか、分からないんです。
呟く様に吐き出した言葉は、ただの事実確認にしかならなかったが、それでも斉藤さんにはちゃんと伝わってくれたらしい。彼は頷くと、少しだけ目を瞑った。

「私は、同性の恋愛に対して差別心はありません。それは、貴方も同じだと思います。重要なのは、貴方がそのお相手に抱いている感情です」
「相手に、抱いている感情?」

そう。斉藤さんはコーヒーを口にしながら、優しそうな笑顔で頷く。
どうですか、貴方はその方の事が嫌いなのでしょうか。
やんわりと尋ねる彼に、僕はそっと、青山と過ごした日を思い出してみる事にした。

 初めて出会ったのは、電車の中だった。
漫画について語り合える人物がいて、この人なら友達になれるんじゃないか、って初めて思えた。
そう言えば、青山と斉藤さんは時々凄く似てる時があった。
敬語を使うからなのか、と納得していたけど、違った。
二人とも、他人によく気を遣うのだ。
そう言う所が、とても似ていた。

決定的に違う所を一つだけ挙げるとするなら、青山と過ごす時間は楽しかった事だ。
斉藤さんと一緒に居ると、ほっとするし落ち着く。
青山は、僕の感情をどんどん引き出していって、落ち着かない。
でも、それがかけがえのない時間なんだ。

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あきゅろす。
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