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透明光速
九月03
 若干有名な三人組。どうやらそれは俺と加瀬と良太の事らしい。校内新聞の隅のコラムに、その三人組とやらの事が書かれていた。

『ー所で、噂の三人組をご存じだろうか。地味な保健委員と可愛い保健委員と、天然王子様な不釣り合いの三角関係だ。その三人は付かず離れずに距離を取っていたらしいが、つい先日、保健委員コンビがくっつき、ついにバラバラになってしまったようなのだー』

俺はそれを見るなり、学校新聞をビリビリに破いた。
本当に、バラバラだったらどんなに良かったか。俺はこんなにも苦悩していないと思う。

それもその筈、委員会活動に顔を出せば良太と会ってしまうし、教室には加瀬が居るし、選択授業では三人同時に顔合わせだ。
兎に角俺達は接点を作りすぎてしまっていて、それでいて時折目が合ってしまうのだ。

 加瀬はあの告白の次の日から、俺に声を掛けるタイミングをはかっているようだった。
冗談じゃない。何を言われるか分からないと言う事は、恐怖でしかなかった。
俺は加瀬と目が合う度に、クラスメイトの輪の中に逃げた。
勝手と思われても、自己中だと思われても、傷つくよりましだと思ったからだ。
そのうち、罪悪感もなくなると信じて。

「タナカさんよぉ、そんなんじゃ、文化祭何も出来ないぞ」

見かねたクラスメイトの一人が、俺の頭を小突いて説教をした。
文化祭、ブンカサイ。頭の中から一切考えられていなかったワードが飛び出して、思わず何度も聞き返した。

「ぶ、ブンカサイって、いつだったっけ?」

クラスメイトは、おいおい忘れてたのかよ、と嘲る。

「再来週からだよ。因みに今週から準備期間」

ついでに言うと今日中に種目を決めないと怒られるって言う。
クラスメイトのその言葉に、思わず椅子から立ち上がる。
そうなのだ。この学校では部活動対抗式の文化祭があるのだ。
このままでは、嫌でも三人一緒にならなくてはいけない。
俺は退部届を貰うべく、職員室に向かって駆けだした。

 廊下を駆ける俺に向けられた視線は、ただ単に走っている人に向けられる視線ではなかった。
興味の対象になるとは、こう言う事を言うんだろうか。
嫌悪感にかられながらたどり着いた職員室は、立ち入りを拒むように閉ざされていた。

「お、タナカじゃん。どうしたよ」

そこに、丁度よく通りかかった担任に、俺はすがりついてしまいたくなった。

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あきゅろす。
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