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透明光速
九月02
 「ん、く……」
良太は、執拗に胸を撫でた。指が当たるか当たらないか、微妙な距離を取りながら、時折具体的にぐっ、と指でイジられる。何と言うか、良太は本当に俺と同い年なんだろうか。妙に上手すぎるその行為に、俺はハラハラした。俺の口から、恥ずかしい事に甘い声が漏れる。
「あっ、ふ」
良太の人差し指が、く、と乳首をかいたのだ。先程とは打って変わって、体に電流が走ったようだった。良太は片手で乳首をいじったまま、俺のズボンにも手をかける。ここにきて小さなプライドが沸いた俺は、自分で脱ぐから、と言った。その声は弱々しく、良太の笑顔に気圧される。
「こう言うのはさ、脱がしたいもんなんだよ、ね」
ね、と言いながら、良太は一気にズボンをひっぺがす。パンツ一丁と言う誰が見ても恥ずかしい格好になった俺は、何処を見ていたらいいか分からず足下を見つめる。
「うん、やっぱキラ君、可愛いよ」
良太の手が、パンツの上に乗せられる。普段他人が触る事のない部分に触れられて、鳥肌がぞっと立つ。そのままやわやわと握りこまれ、その鳥肌は徐々に快楽に変わった。
「あ、あぁっ、は」
せり上がり、熱くなる。優しく指を滑らせたかと思えば、急激に握られる。程良く与えられる快感に、我慢を忘れて俺は喘ぐ。
「良、太ぁ、いっ、いくっ……!」
呆気なく果てた俺を、良太は暫く見つめていた。沈黙は苦手だ。どうしたらいいか分からない。しどろもどろに狼狽えていると、良太はようやく口を開いた。
「思い出作り終ー了ー!」
「……は?」
予想外。思わず俺は呆れ声を上げてしまう。そんな俺に、良太はん?と聞き返した。
「もしかしてキラ君物足りなかったー?でもごめんね、流石に最後までやっちゃうとさ、トールに悪いし」
キラ君もそう思わない?そう言われて、ふと、心の底で消えた筈の加瀬が浮かぶ。さっきまで忘れていた罪悪感がぶり返して、ああ、何をしようとしていたんだ、と自責の念が押し寄せた。

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あきゅろす。
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