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透明光速
九月01
 まるで壊れたおもちゃで遊んでいるみたいだ。俺はそう思った。
普段の、加瀬を一心に思う良太と、冷たい目をした良太とも違っていた。
「今だけは、キラ君の本当の恋人だね」
僕ってば演技上手。良太の言葉に、何故か笑いが込み上がる。そう、これは演技で、これは、遊びで、これは本当じゃない。割り切ってしまえ。楽しんでしまえ。心の本音を受け入れて、俺は良太と向かい合った。
 俺が自分から白いシャツを脱ぐと、良太は頭を振ってキスをしてきた。実はこれが人生初な俺は、息の仕方が解らなかったりして、良太の肩をとんとんと押し返した。
「苦しかった?」
何と言うか、良太はドの付くサディストだと思う。何故なら、荒い息を繰り返す俺を見て、良太が満足げに微笑んでいるからだ。そう言えば、中指を気にする俺を見て、時折嬉しそうにしていた気がする。
「お陰様で」
ようやく呼吸を整えた俺の頬を、良太の手が滑る。そのまま耳に移り、首に移り。親猫が子猫にするようになでられて、くすぐったい。良太の手は、胸元のある一点で止まった。俺は思わずストップをかける。
「待て待て、俺が、その、される方なのか?」
俺がそう言うと、良太はハア?と言った表情で首を傾げる。
「今の今まで黙ってたのに?ってか僕バリタチだから」
キラ君可愛いから大丈夫!何て暢気に言う良太の顔は、俺より百倍は可愛らしかった。
 再び、そっと胸元に寄せられた手は、鎖骨と胸の行ったり来たりで、何とも恥ずかしかった。その時だ、良太の小指が、ある箇所を弾いた。
「っあ……」
不意に漏れた声に、思わず口を閉じるが、良太の手にすぐさま開けられてしまう。
「聞かせてよ、キラ君のかわいーい声」
あ、その喋り方、加瀬に似てる。俺は心に浮かんだ罪悪感を振り払いたくて、目を瞑った。

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あきゅろす。
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