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透明光速
七月01
 三人で行動する事が多くなって、気がつけばあっと言う間に七月に突入していた。
委員会の掃除もグダグダの内に続いており、妹の怪我という設定はもはや忘れられているようだった。

 七月か。通りで良太がうるさい訳だ。
あいつは暑がり、と言うか熱に弱い体らしく日陰に居てもすぐへばってしまっていた。

「もうすぐ夏休みだねー、アッキーはどっか出かけたりするの?」
「例年だったら親戚の民宿を手伝いに行ってるな」

飲みかけのブリックパックを極限までへこませて、実りのない夏を思い出す。
朝は風呂の掃除に始まり、夜は食器洗いに終わる。
人使いの荒い親戚の兄にしばかれ、山奥だからなのか、女子との甘い出会いには程遠く、毎年おばあさんのメル友が数人出来るのみだ。

そこまで回想して、加瀬と良太の顔を見ると、二人は物の見事に青ざめていた。
どうやら想像していたお手伝いとはほど遠かったらしい。
おずおずと言った感じで、加瀬は挙手する。授業か。

「今年も行くの決まっちゃってるの?」
「いや、流石に今年は家でのんびりしようかと」

おばあさんのメル友が三十人とか笑えないだろ。
俺の言葉に、二人は同時にはあ、と息を吐く。なんなんだ一体。
俺が驚いていると、良太はひらめいたように勢いよく挙手する。だから授業じゃないんだから普通に言えっての。

「三人で、どこか泊まりに行こうぜっ」
「あ、いいねソレ賛成ー」

即座に下された加瀬の賛成により、半強制的に旅行の計画が進む。
その後の二人は、女子も引くくらいの早さで、行き先を話し合う。
俺はブリックパックをゴミ箱にシュートすると、海だけはやめてくれよ、と呟いた。
何でかって?泳げないからに決まってるだろ。
 俺の呟きを、良太は聞き逃さなかった。行き先は誰もが予想した通り、近場の海に決定してしまった。

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あきゅろす。
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