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透明光速
六月04
 放課後の掃除は、慣れれば慣れる程コツを覚えてしまうもので。
本来の面倒くささを嫌う性格もあってか、嫌でも手を抜いてしまう俺がいた。

「終わるの早すぎじゃね、いくらなんでも」

五分と終わらずに片づいた室内を見回して、軽くため息を吐く。
こんなんじゃ加瀬から離れようとした意味がない。
部活に余裕で間に合ってしまう。それに……

「あんな二人を間近で見るって、拷問だよな」
「あんな二人って?」

一人で勝手に呟いた言葉に返事がくるとは。
不意打ちの衝撃に俺は手にしていたちりとりを落としてしまう。ロボットのようにギギギ、とぎこちなく振り向くと、そこには予想通りと言うか何というか、加瀬と良太が立っていた。

「いや、何でもない」

頭を振ってちりとりを拾おうとする。
すると加瀬は、させないよ、とでも言わんばかりにちりとりを奪ってしまった。ハッとして顔を上げると、加瀬と目があう。怒っているかのような、ムッとした目だ。

「早く終わったんだね?」

心なしか、声も怒っている気がする。と言うか、怒ってるんだろうな。

「お、おう。なんつーか、慣れちまってさ」

ははは、軽い笑い声と共に小さく後ずさる。
背中が良太の肩にあたった。何か俺、尋問されてないか。

「昨日も、早く終わってた」

加瀬は思い出すように遠くを見つめて、静かに口を開く。

「部活には全然間に合う時間だったよね。何で、そそくさと帰っちゃうのかな」

調理室って正門よく見えるんだよね。
良太がしみじみと呟く。お前はどっちの味方なんだ。
あ、加瀬の味方か。思考をぐるぐると巡らせていると、加瀬は俺の言葉を待つように口を閉ざした。

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あきゅろす。
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