恋は百花狂乱
序*九代目のお願い
『ボンゴレの十代目…?』
普通の家にしては広すぎる和風で畳が幾つもある部屋。其処の中心で着物に身を包んだ父子が向かい合い、座っていた。
「あぁ。ボンゴレファミリーのことは知っているだろう?」
『まぁ…有名だしね…っていうか有名ってモンじゃないでしょ』
「時期十代目ボスが並盛中にいる」
『わぉ。歳近いんだ』
「あぁ。そこで侑季。お前に頼みたいことがある」
『1万円』
「…親に金を求めるな。九代目からの頼みでな、お前に護衛をしてもらいたいらしい」
『はいはい…って、うぇいっ?!護衛って何さ?!ストーカーにでもつけられてるの?』
「違うからね。普通に考えてわかるでしょ。次期ボスだからおかしな輩に狙われる可能性があるから…」
『わかんねぇよ。ってかヤダよめんどくせー…』
「侑季が任務受けてくれないと家が潰されるんだよォォォォ!!!」
いきなり叫びだした父親は侑季の肩をゆさゆさとゆする。侑季はめんどくさそうな目で父親を見つめた。
『…はぁ。―で?術の使用は…?』
「体術のみ許可する」
『武器は?』
「まぁ軽めのものならいいだろう」
『オッケー…転入はいつから?』
「明日」
『オッケー…って明日ァ?!』
「ここからじゃ遠いから並盛のマンションから通ってくれ。一人暮らしくらいできるだろ」
『それ年頃の娘に言う台詞ですか?』
「心配いらないだろ」
『…まぁね』
侑季はニヤリ、と口角をつりあげて笑った。それを見て父親も頼もしそうに笑った。
口でこそめんどくさいと言ったものの、学校に通うのは楽しみで仕方なかった。―今は、通ってないから。
(十代目…ねぇ。どんな人なのかな)
九代目のお願い
(でもいくらなんでも明日って急すぎでしょ)
(仕方ないだろ。もう手続きしちゃったもん)
(いい歳した親父がもんとか言うなよ)
090109/aoikumo
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