つまみぐい
ジジがフォークに乗せて差し出したドルチェに、ナマエは一瞬戸惑いを見せた。
両手はフライパンとフライ返しを掴んでいて使えない。
目の前のドルチェを見つめ、それから意を決して口を開く。
ジジがそっとフォークを入れて、ナマエが口を閉じて、ゆっくりとフォークが引かれていった。
フリオは微笑み、テオは呆れ顔をする。じっと見てくるニコレッタはクラウディオとこんなことをしたいのだろうか。
テオのドルチェは美味しい。
引き続き料理中で両手が空いてないナマエは、頭をかるくジジの肩にぶつけてモゴモゴと咀嚼半分に「グラーツィエ、ジジ」とお礼を言った。
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