110714 帝国ロワイヤル
我が国は襲われた。島は奪われた。理由は知らない。何故今というタイミングであったのかも。

上司は、倒した敵の武器を手に取り興味深そうに見つめていた。
この人が自ら国を拓きたいと考えていることは知っていた。今がその時だと思われた。行かれるのですか、と声をかけようとして、喉がわなないて動かなかった。
否、聞きたくなかったのだろう。だってイエスと言われたらどうすればいい。

ああ、常から目で追っていた背中が、ぐんと遠ざかる。





武器をよく見る為膝をついていたエドガーはある程度満足したところで立ち上がり、振り返った。あまりに唐突だった戦いの後処理に追われる部下たち、軍人たち。逃げ惑う民。そのただ中でぼんやりと立ち尽くしてこちらを見ているのは。

悲劇は本当に突然だった。だが、降ってきたこれが最高の好機だろう。我が野望の実現へ踏み出すべき時は、まさに今だ。
帝国の立て直し及び敵の討伐という命を受け、この国を出てゆく、敵の背を追って。
しかし、そこにいる軍人を、部下を、女を、ただひとり。


「ついて来るか」





ナマエは我に返った。そもそもいつの間に意識が手元から離れていたのか。あの上司はいつの間にこちらを見ていた?そして今、何と言った、のか、?
頭の中で様々なものが慌ただしく天秤にかけられて下ろされて、次々突きつけられる優先順位。選び取って切り捨てなければならないものは。
(この上司か家族か、共にゆく旅か日常か、いやしかし日常はつい先ほど蹂躙されて)





エドガーはしばらく、呆然としたまま何の反応も見せない部下を待っていたが、止めた。彼女のためを思うことも、迷うことも。どうせ彼女は少なからず自分に心酔しているのだ。
イエスと答えないなら、揺らぐその心ごと力ずくで連れ去るのみ。


「ついて来い、ナマエ。支配者の景色というものを、貴様に見せてやろう」


弱くて良い。その力なき力、脆弱な心、支配者となる私の側に置く。私と共になければならない。




果たして彼女は、沈黙の後に頷いた。


よろしい、ならば戦争だ。
ひとつの帝国と、民と、最精鋭の盟友と、そして永遠の栄光を賭けて。



 帝
 国
 ロ
 ワ
 イ
 ヤ
 ル






‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

Q.帝ロワって?
A.モ/バ/ゲさんのゲームだよ!
まさかのジャンルすみませんでしたあああ





第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!