100411 魔王軍とんだ


名前は慌てて辺りを見渡した。
広がる地上は丈の低い草原に、ぽつぽつとある簡素な建物、教会らしきもの。小さくとも立派に佇む城がひとつ。良く晴れた空に、吹き抜けた風が髪を巻き上げる。
そして目を惹く──地下への入り口。と、そこへ入っていく勇者一行。

まさか。息を飲む。


とりあえずしばらく待ってみると、入り口のドアが開いて黒いマントのようなものを纏った者が出てきた。次いですぐそこの城の敷地から突然王様と姫が駆け出してきて真っ青な顔で逃げていく。

黒衣の者は満足気にその様子を眺め、それからそこに建っていた高い棒に何らかの旗を合図で挙げさせて、笑った。空には花火が数発打ち上がる。


もう間違いない。名前は迷いなく彼の元へ走った。足元の草が邪魔だ。
近づくにつれ足を緩め、こちらに気付いて怪訝そうな顔をするその人物から数メートルほど離れたところで足を止めた。
はためく黒衣。尖った紫の髪。病的に白い肌、手に持ったステッキの先には小さなドクロ。



「すみません。あの…、魔王さまですか?」

「……いかにも。ニンゲンのコムスメが私に何か用か?」



うわあ実声だ!偉そう!
名前は胸の内に溢れる歓喜をめいいっぱい隠して叫んだ。



魔王軍に入れて下さい!



勇者ってなまいきですよね、魔王さま。





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というわけでまさかの勇なま魔王さまゆめ。
需要?なにそれおいしいの?\(^o^)/




あきゅろす。
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