仲良し二組
ほのぼの、と言えば聞こえはいいが実質能天気な会話を繰り広げるカクとその彼女一歩手前の女の子。

を、見て、ナマエは心から嬉しくなって頬を緩めた。
「なンだニヤニヤして気持ち悪ぃな」と指摘してきたパウリーは偶然聞き咎めたカリファに地に沈められた。……。

しかし、大変好感の持てるカクたち二人を眺めていると、なんだかこちらまで気持ちがやわらかく、甘酸っぱくなってしまう。
持て余したそんな気分を、ナマエはゆったりと息を吐いて僅かに逃がした。



「しあわせ…」

「何がだ」

「…地声、いいんですかルッチさん」

「誰も聞いていない」



ルッチは肩にかけたタオルで汗を拭い、ナマエの視線の先を追った。
仲良しな二人、というかカクを見て少し不機嫌そうに眉間に皺を寄せたのはCP9の誇り故?
それとも単に馬鹿馬鹿しくてか。



「カクさんたちそのまま結婚しませんかねぇ」

「…ばかやろう。暗殺者が結婚してどうする」

「ええ…?そんな、」



そんな、に困惑の音を持たせるだけに留める。

別にいいじゃないか。
海軍や政府で既婚者なんかいっぱいいるんだし。


カクとあの子はお似合いだ。美男美女とかでなくて、お互い自然体でいられそうなところが。
結婚して、家庭を持って、子どもが生まれて、かわいい仲良しなおじいちゃんおばあちゃんになる二人。なんとまあ簡単に想像できることか。似合う似合う。


それに比べて、とナマエは隣に立つ男ルッチを見上げた。老いる姿がまったく想像つかない。
町の人々に見せる姿が本物ならばかわいらしい娘さんも似合うだろうが、実際は恐い一面も持つ暗殺者だ。似合うとしたらグラマーで艶やかなオネーサン。
でもそれって家庭には繋がらないよね?


大工の仕事着のルッチを見上げながらこの人老後どうすんだろなと考えていると、引き続き不機嫌そうな目が見下ろしてきた。



「…何だ」

「……、いえ」



CP9はいつまでCP9なんですか?引退ってある?皆はそれからどんなふうに暮らしていくの。
大変興味深かったが、質問するのがめんどうで…というかルッチさんの方が回答をめんどくさがりそうで、止めた。
カリファやカクとお茶を飲んだ時にでも聞いてみよう。


もう一度二人を見て目を細めるナマエの側にルッチは佇み、時折ナマエを見下ろした。
カクたちと同様に自分たちも二人組であると、当人のナマエは気付かない。



仲良し二組



「あ、またルッチさんとナマエさん一緒にいる」
「あいつらもほんに仲良しじゃのう」
「早くくっつけばいいのにね。あわよくば結婚してしまえ」
「わはは、ルッチの結婚式か!そりゃ楽しそうじゃな」

似たような話してる二組





第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!