091118 お大事に

朝起きたら喉に違和感があった。
鼻の奥がムズムズする。
時々くしゃみが出る。
…言ってたら熱っぽい気もしてきた。


「人はそれを風邪と呼ぶんですよキッドさん」

「いや、でも」

「頭いいのに…馬鹿は風邪をひかないとか、もー」

「………」


勘違いされがちだが、この諺は「自分が風邪をひいていることにも気付かないのかバーカ」という皮肉である。
キッドはきまりわるく視線を逃がし、名前はため息をついた。
昼休み終了間際に保健室のベッドの上で背を起こす男とその側に立つ後輩。

名前の手にあるケータイがブルッと震えてメールの受信を知らせた。名前はパチンと開いて操作し、文面に目を走らせる。
メールの差出人は、キッドを保健室に押し込み名前を呼びつけるなり笑顔で出ていってしまった、


「…相内かい?」

「…“放課後まで寝て部活は見学のこと”」

「はぁ…まあ今日は監督もいないしねぇ。鉄馬を放ってはおけないか」


大人しくベッドに潜り込んだキッドの目尻に軽く口づけて名前は素早く離れた。


「…は、」

「おやすみなさい」


シャットアウトしたカーテンの向こうでキッドが何か言っている。今は耳が日曜日です。



お大事に




…放課後はどんな顔して会えばいいのか。





(500字)
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風邪ひくの久しぶりすぎたキッドさんと気をきかせた比奈さんとメールの内容を実行してみたヒロイン。
2周年5万打ありがとう要素が、な、ないな…^^




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