091014 シンデレラ・タイム

小さなバルコニーの手すりに腕を組んで顎を乗せる。

じんわりと瞳を細めれば、幻想的なライトアップが綺麗に滲んで見えた。

ひやりと心地よく肌を撫でる夜風。時間が経つごとにゆっくりと色の落ちていくシンデレラ城。
なんという至福だ。このままずっと見ていたっていい────










「名前」



「っ!、賢二郎さん」



不意に低い声が届いて驚いた。いつの間に隣のバルコニーに出ていたのだろう、ちっとも気付かなかった。賢二郎さんは少し呆れたような顔をしている。



「大人しく寝たかと思ったら…。起きているのはお前だけなのか」

「はい、みんな寝てます」

「もう2時だぞ」

「寝るのがもったいなくて」



悪いかなと思いつつ、同室の愛花たちを起こすことはせずにこうして夜景を一人占めしていた。

バルコニーの端まで行くと、本当にすぐ側の賢二郎さんは「まったく」と溜め息をつきながらジャケットをかけてくれた。ほっとするぬくもり。ついでに腕がまわされて引き寄せられる。
バルコニー越しの逢瀬、なんて。



「…早めに寝なさい」

「はい。賢二郎さんも」



抱き締める二の腕の向こう、視界の左端に映るシンデレラ城が美しい。







明日は早起きしてこのジャケット返さなくちゃ。






(500字)
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何故そのジャケットを持っているのかと誰かに訊かれてしまう前に。



***

6班でネズミの国へ泊まりがけで遊びに来たとかそんなところです。ネタが東京旅行の名残^^
城の名前も危ないんでしょうかデ/ィ/ズニー…
駄目そうなら対処しなければ。

なんとか甘さの欠片くらいは見られますでしょうか、潤さまに捧げます!
リクエスト下さりありがとうございました^^*




あきゅろす。
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