090318 闇恋し
ため息をつく。
自分のそんな仕草を意識することすら久しぶりに思えて、どれだけ仕事に忙殺されてきたのかがわかって余計に体が重くなった。くそう、疲れた。
だらだらと給湯室に向かう。



マグカップをゴトリ、とテーブルに置く。紙パックのコーヒーを半分まで注ぎ、牛乳を同じくらい足す。
「こりゃあもはやコーヒーじゃねぇな子猫ちゃん…」、口元をひきつらせる姿がテーブルの向かいに一瞬見えて、消えた。ため息をもう一つ。
マグカップを煽る。



「…おいしくない」



予想以上に安っぽい味に、思わず眉をしかめた。
良い香りが鼻孔を擽り、それからじんわりと染みる味わい深さに慣れてしまったわたしの体。
あの極上のコーヒーを飲まなくなって、もう久しい。


牛乳で誤魔化したカフェオレのようなそれを再び口に含んで、喉を通した。

闇は濁ってしまっている。このマグカップに真実など見当たらない。




ゴドーさん、あなたは確かにあなたの意志を貫きとおしたのでしょう。誰かの命を奪ってでも、護らねばならない人がいたのですよね。例の髪の尖った青い弁護士とあなた自身の手で、法廷は真実に導かれた。最後には弁護士さんにもコーヒーを振る舞ったと聞きました。まったくあなたらしいことです。

だけどそうして、検事局からは芳しいコーヒーの香りが消えてしまいました。あの絶妙なブレンドを誰もマスター出来てないままに。



「ゴドーブレンド飲みたいなぁ…」



瞬いた瞬間に、涙がポタリとマグカップに吸い込まれていった。
塩水を一滴加えたところでコーヒーは美味しくはならない。


恋し



紙パックのコーヒーなんて見たら、きっと怒るでしょうね。ゴドーさん。



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微妙に片想いの新米検事ヒロインとか^^
ゴドーさん一応殺人罪なんですよね…今後一切出てこないのかなぁぁ


ゴドーブレンドならブラックでも飲み干せる気がする^^




あきゅろす。
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