090126 冬の道
(※「今を見ている」ヒロイン)
比奈が視界に入る度に眉を寄せていた名前は、ついに堪えきれず比奈を呼んだ。
牛島と並んで数歩前を歩く比奈に駆け寄る。
「比奈さん」
「ん、なぁに?」
「ちょっと屈んで下さい」
なになに、と楽しそうに従った比奈に、名前は素早く巻いていたマフラーを解いて比奈の首にぐるぐると巻きつけた。驚いて比奈が身動きをしマフラーに手をかけるが、名前は「比奈さん」とそれを制する。
「ちょ、ちょっと待って名前ちゃん!私大丈夫」
「いいからつけてて下さい。見てるだけで寒気がすんですよ」
西部ルックは可愛いんですけど、と続ける名前の眉間に皺があるので、比奈は仕方なく手を下ろした。
見た目もいいようにマフラーを巻き終え、名前は満足そうに一歩下がって比菜を眺めた。
「よし」
「よしって…もう」
「似合ってますって。行きましょ!比奈さん」
名前が比奈に腕を絡めて歩き出す。比奈も慌てて足を踏み出し、雪の道を踏む。それからそっとマフラーに手をやって照れたように微笑んだ。
「ありがとう名前ちゃん。マフラー暖かい」
「そうですか」
良かったとほんの少し唇の端を持ち上げて、名前は目を細めて比奈を見上げた。
名前が比奈を呼び止めたことで比奈と歩がずれて立ち止まった牛島と、駆けていった名前に残された形でゆっくり歩き続けたキッドが何となく並び、仲良く先を歩くマネージャー二人を眺めた。
牛島が逞しい腕を組み、意味ありげなため息を吐く。それは白く染まって視覚にもわかりやすい。
「陸のやつも一年生って格じゃねーけどよぉ…あいつもおよそ一年らしくねぇなぁ」
「…そースね」
キッドは帽子のツバに指を掛け、鉄馬はフシューと蒸気機関車よろしく鼻息を吐いた。同意したのだろう。
今にもスキップを踏みそうに楽しげな比奈にはバレないように、間が開き過ぎてはいないかとちらちらとこちらを窺う名前を見て、キッドはくすりと笑った。どこまで人を思いやるのかねぇ。
冬の道
西部メンバーがいればいるだけちょっと愉快な、今日はこんな道途中。
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「今を見ている」ヒロインです^^
あと泥門白秋帝黒に、トリップ前から仲良かった友人どもが飛ばされているのですが…シリーズ化できそうだなこれ\(^o^)/
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