090108 リップ音のないキス

スーツを着た大きな背中。キメるときはその上質なスーツを誰よりも着こなしてビシッとキメてしまうその人。
今は上着を脱いでネクタイを緩め、第一ボタンも開けてリラックスモードだ。
それがまた素敵だから、本当に参ってしまう。



「本庄さん」

「ん?どうした、名前」



呼べば目を落としていた新聞からすぐに振り向いてくれる。サングラスに隠されていない瞳やその目元なんかが、もう、もう。
やばいよ!

堪らなくなって飛び付けば、「おっと」なんて言ってしっかり抱き止めてくれる、しなやかに筋肉質の腕、スポーツマンらしい厚い胸板。

だめだ、もう、なんでこの人はこんなに。
もう無理。もう駄目。
凡人のわたしには堪えられない。恋の盲目さが追い打ちをかけてるとして、だけどそれでも贔屓目じゃなくたって。


こちらの心情など知らない本庄さんが、心配そうに顔を覗き込んでくる。



「名前、ほんとにどうした?まさかどっか具合悪いのか?それなら寝室に」

「か…っこよすぎです本庄さん…!」

「へ?」



ぎゅううと抱きついたまま本庄さん見てると心臓がもたないと正直に言うと、目を丸くしていた本庄さんは嬉しそうに笑い(ひえぇかっこかわいすぎる)わたしの頭をぐしゃぐしゃにして、軽く唇を重ねた(死にそうだ!)。



リップ音のないキス



「俺はお前見てると心臓も理性ももちそうにないけどなぁ」

「…ん?」






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なんでこの人こんなに格好いいの^^




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