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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
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 「はいはい、どっちの呪文でもいいから、早くやってあげてよ。空の海の魔女のリーちゃん」

空の海の魔女さんはまたため息をつくと、手を上げた。すると、空の海の魔女さんの横に杖が現れた。

その杖を手に取り、呪文(どっちの呪文かは小声だったのでわからなかった)を唱えて、杖を一振りすると、クウさんたちの体が光に包まれた。

次の瞬間、クウさんたちの着ている服が変わった。
 
 「わあ……」

変わったクウさんたちの服はファッション誌で見た服だった。その服はもちろん、とても素敵だったけど、その服を着たクウさんたちはファッション誌で見た女性みたいにきらきら輝いていた。
 
 「みんな、とっても素敵よ!」

ショーコさんが感動の声を上げた。
 
 「へえ〜、これがあの本にあった服なのね」

カリナさんは服を触ったり、回ってみたりして変わった服を確かめていた。クウさんは服を見て、照れくさそうに笑っていて、ミコトさんは恥ずかしそうに俯いていた。

 「ね? コウキくんたちもそう思うでしょ?」

アルトさんは「もちろん!」と答えたけど、コウキさんはミコトさんを見て、ナルさんはクウさんを見て、そのまま動かくなってしまった。

二人とも、何か悪い魔法にでもかかってしまったのだろうか。

けど、そうではなかったらしい。その理由はコウキさんのお友だちのフィルさんが教えてくれた。
 
 「コウキはミコトが、ナルさんはクウさんが……あまりに可愛らしくて、見惚れてしまったのですよ」

すぐにコウキさんが真っ赤な顔をして「違う!」と否定した。

そしてミコトさんを見て、さらに真っ赤になって、「いや違うくはないけど、そうじゃなくて……」と頭を抱えてしまった。
 
 「好きな女の子が可愛くなると、男の子は嬉しいのよねえ」

と、コウキさんの左でショーコさんが言う。
 
 「だから、違うって!」
 
 「おや。先程、違うのではないとおっしゃっていたではありませんか」

と、コウキさんの右でフィルさんが言った。

 「その違う、そういう意味じゃなくて……」
 
 「じゃあ、どういう意味のなのかしら?」
 
 「そこのところを詳しく教えて頂けませんか?」
 
 「そ、それは……」

フィルさんとショーコさんがコウキさんの両脇を固めて、問い詰める。コウキさんは何か言おうとしたけど、さらに顔が真っ赤になって、黙ってしまった。
 
 「反論なしなら、ミコトちゃんが可愛くなって、コウキくんは嬉しいってことで決まりね」
 
 「ということになりますねえ」

ショーコさんとフィルさんが笑い合う。

コウキさんは何も言わず、イチゴみたいに真っ赤になって、テーブルに突っ伏してしまった。

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