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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
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タムタムは掴まっていた蔦から飛び降りて、オレたちのところへ着地した。

 「ボクたちもおかしを食べたくなって、ショーコさんのお店に行こうとしたんだ。んで、途中でソフィアたちとサリサたちと会って、一緒にお店に行ったら、誰もいなくって、みんなでどうしたんだろーって話していたら、森のほうから木たちが助けてーっていう声がして……リーフと一緒に助けてーって言っている木たちを探したんだけど、次元の挟間って、大地の気が乱れることが多いから、どこから木たちの声がしているかわかんなくて、適当にあっちこっち行ってみたら迷っちゃったー!」

タムタムはいつものマイペースな調子で、ここに来た経緯を説明してくれた。

大地の精霊にとっては木や草花は同じ大地を生きる者……大事な友だちで、何を考えているかわからないことが多いタムタムだが、とても友だち思いのは知っている。

次元の挟間の木や草花もタムタムにとっては大事な友だち……だけど、その友だちの緊急事態だっていうにタムタムのマイペースは崩れることはなかったようだ。

 「まあ、それがタムタムだから」

と、タムタムと長い付き合いの友だちの精霊クウは言った。

 「あれこれ考えるより、場所がわからなくてもまず行ってみようー!って行動するタイプなんだよねタムタムは」

そんなタムタムにあちこち迷案内されたかと思うと、今ここに駆けつけてくれたソフィアたちはさぞかし苦労しただろう。

でも、ソフィアたちやサリサちゃんたちが怒っていないところを見ると、友だちがピンチな時にじっとしていられなかったタムタムの気持ちを理解しているんだと思う。

 「でも、迷ったのによくここまで来られたな」

 「んーと、それはねえ……」

がぶり。

頭の後ろが、思いっきり噛まれた激痛が走る。

 「いっっっってぇぇ―――――――!!」

あまりの激痛に声を上げ、頭を抱える。こんなことをする奴は……

 「カミュウがこっちにおいしそうな生気……じゃなくて、コウキがいるって案内してくれたんだ」

やっぱり、奴だった。

 「は、離れろ―――――――!」

オレの頭を噛む白いあいつ……カミュウを何とか頭から離そうとするが、がっちりと噛んでいてなかなか離れない。

 「……うみゅうちゃん、やめてあげて」

ミコトが駆け寄って来て、カミュウに頼むとやっと離れた。

 「うみゅう〜」

気の抜けるような声で鳴くカミュウはふわふわ飛んで、お気に入りらしいミコトの胸に収まった。

 「うみゅう〜」

 「……やっぱり、コウキの生気が一番おいしいって」

精霊を操る精霊術が使えることで、精霊の言葉がわかるミコトがカミュウの言葉を訳してくれる。

 「な、何で、オレなんだよ……」

いつも噛まれるほうはたまったもんじゃない。

しかも、こんな時に噛まれて、生気だけでなく戦意までごっそり吸われたような気がする。

 「挨拶もその辺にして、そろそろ話を戻していいかな?」

ユイオスさんが苦笑して、切り出す。

オレたちが話している間、彼は強力な法術……オレたちの世界でいう魔術を使って、水の触手を防いでくれていた。

キサラさんや、タムタムたちも水の触手を阻んでくれているが、確かにのんびり話をしている場合じゃない。

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あきゅろす。
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