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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
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髪の両端が長いのが特徴の青い髪にオレンジの服を着ている女性、彼女のお名前はカリナさん。

カリナさんはわたしとは別の世界の人で、精霊のわたしとは違う存在、人間である。

カリナさんは今日もお友だちの方たちと一緒に来ていて、赤紫の髪を三つ編み結った女性、クウさん(本当はクウシェイルスさんというお名前だけど、皆さんはクウさんと呼んでいる)と一緒のテーブルでおかしを食べていた。
 
 「俺はカリナのことを絶対にほったらかしにしない。待ち合わせ三十分前にきちんと来て、デートはきちんと最後までエスコートするぜ」

カリナさんたちの向かいのテーブルに座っている草原のような色の長い髪を束ねて、大きな剣を持っている長身の男性、アルトさんが胸を張った。

その隣には黒髪に黒い服を着た男性、ナルさんが本を読んでいた。
 
 「ってことで、カリナ。俺と一度、デートしてみないか?」

アルトさんは春風のような爽やかな笑顔をカリナさんに向けた。
 
 「嫌よ。お断り。てか、絶対、一生、0%の確率でしないから」

アルトさんのほうを見ないで、カリナさんは氷のような冷たい声でそう言った。その瞬間にがっくりとアルトさんが肩を落とす。

これがカリナさんとアルトさんのいつものやり取りだって、前にクウさんとナルさんが教えてくれたけど、アルトさんはとても悲しそうな顔をしていた。
 
 「アルトさん。あとでわたしのおかし、あげますから元気出してください」

放っておけず、わたしはアルトさんに声をかけた。
 
 「うう……有り難う。レンちゃんは優しいよなあ……」

アルトさんがしゃがんで、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
 
 「じゃあ、レンちゃんがアルト兄にわけた分のおかしはわたしがあげますね」
 
 「それじゃあ、クウさんが食べる分が減ってしまいます。わたしは大丈夫ですから」

クウさんの言ってくれたことは嬉しかったけど、そのせいでクウさんの食べるおかしが減ってしまうのは申し訳なかった。
 
 「アルト兄を元気にしてくれたお礼ですから、気にしないでください」
 
 「でも……」
 
 「じゃあ、レンちゃんのおかしを少し分けてくれませんか。わたしのおかしと交換し合いっこということで。どうでしょうか?」
 
 「それなら……喜んで!」
 
 「クウちゃんも、レンちゃんも、本当いい子だなあ……」

と、アルトさんがハンカチを片手に泣く。それを見たカリナさんが「大げさすぎ」と本の角でアルトさんの頭を叩いた。

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