11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
14
「……メガザルを唱えて、傷ついたレンちゃんを癒せばいいと思う」
と、ものすごく低い声でミコト。
「それでは生ぬるいのではありませんか? このおバカさんにはデスをかけて差し上げたほうがよろしいかと思いますよ」
と、さらに怖い笑顔でフィル。
「もう救いようがないから、ジエンドでいいんじゃないかな」
と、投げやりにブータ。
「あの、どの魔法もトラネコくん、死んじゃうものなんだけど……」
魔法に詳しいティンが顔を上げて、恐る恐る言う。
「みんな、トラネコを生かすつもりはないってことだな」
コウキが結論をまとめる。
「とにかく、そのバカネコはただじゃ済まさないよ。きっちり落とし前を……」
空の海の魔女が杖を構えたその時、バンっとドアが開かれた。
「空の海の魔女さん!」
店の中に入ってきたのはレンを追っていったクウたちだった。
「大変なんです! あの、あの……」
クウの顔は青ざめていて、口は思うように動かせていない。
「クウ、落ち着いて」
ナルがクウの手を握り、落ち着かせようとする。そのナルも焦りの感情がはっきりと表れていた。
「何かあったのかい?」
ただならぬ様子に空の海の魔女がたずねる。
「レンちゃんが……」
レンの名前を聞いて、ボクはすぐにクウたちに駆け寄った。
「レンに何かあったのか!? 早く話せ!」
カリナがボクを睨みつけてきたが、すぐに視線を空の海の魔女に戻した。
「ここで説明するより、来てもらったほうが早いわ。それに急がないとかなりヤバイかも」
何があったのかはわからないが、レンに危険が状態にあるというのは理解した。
ボクたちはすぐに店を出て、次元の挟間の森へ駆け出した。
レン、レン、レン……!
クウたちのあとを追いながら、ボクはただただレンのことを考えた。
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