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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
sideレン おかしのお店とファッション誌
わたしはあの人が好き。
例え、あの人がわたしを好きになってくれなくても好き。
あなたを想うこの気持ちだけでいい、そう思った。
だから、わたしは……
でも、わたしは……
あなたを想うことは幸せ。でも想えば想うほど、苦しくなる。
この想いをわたしはどうしたらいいのか、わからないのです。


いろんな世界の通り道、といわれる次元の挟間。そこに一軒のおかしのお店がある。

森に囲まれた白い家。

その中は白を基調とした壁、カウンター席とテーブル席も白で統一されていて、テーブルクロスは薄いピンク色。ところどこには花が飾られていて、店の主であるショーコさんの飾らない素敵さが表れている。

ショーコさんというはおかしの精霊さんで、おかしの精霊の世界のおかしの国のパティシエさん。今は「いろんな世界の人におかしを食べてもらって、腕を上げたい」ということで、いろんな世界の人がやってくる次元の挟間でおかし屋さんを開いている。

ショーコさんは明るくて、気さくで、精霊も人間も分け隔てなく接してくれて、作ってくれるおかしはどれもおいしい。

今日も、わたし、レンはショーコさんのお店を訪れた。
 
 「あら、レンちゃん。いらっしゃい」

お店に入ると、黒い服に白のエプロン、黒髪を二つのおだんごにした女性の精霊が笑顔で迎えてくれた。この精霊さんがお店の主のショーコさんだ。
 
 「こんにちは、ショーコさん」
 
 「今日は一人なの?」

 「はい。トラネコさんとブータくんに先に行ってって言われて……」

わたしが住んでいる世界、水や海の精霊たちが集まって暮らしている空の海で、今日はお友だちのトラネコさんとブータくんと砂浜で遊んでいた。

突然、トラネコさんがショーコさんのところへおかしを食べに行こうと言い出して……けど、ブータくんと先に寄りたいところがあるからとトラネコさんに言われて、わたし一人で先にショーコさんのお店に来た。

本当はトラネコさんと一緒に来たかったけど、用事があるなら仕方がない。
 
 「レンちゃんをエスコートせずに先に行かせるなんて、あの二人は何をやっているのかしら。私が男の子だったら、こーんなに可愛いレンちゃんを放っておかないわ。王子さまから奪っちゃおうかしら」
 
 「えっと、あの……」

可愛いと言われて嬉しいけど照れてしまうことと、奪われてしまうことは困ること。どちらを先に言おうか、どう言ったらいいのか考えていると、
 
 「そんなことしたら、あのワガママネコ王子が暴走するわね。まあ、あのネコ王子のワガママ暴走なんて、たいしたことじゃないけど」

テーブル席に座って本を読んでいた女性が言った。

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あきゅろす。
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