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 茶色に染めた長い髪にゆるくパーマが当てられている。元から目鼻立ちが整っているため、薄いメイクでも十分それが際立つ。同い年なのに真紀よりも随分大人びて見えるこの女性は加々美佳奈。真紀の大学の友達だ。


「佳奈ちゃん、いつからいたの?」

「だ〜れだ? ってとこから」


 自分の目元を隠して悪戯っぽく笑う。それってほとんど最初からなのでは、と思い、真紀は更に顔を赤らめた。


「いやはや、ご馳走様でした」

「こ、声かけてくれたらよかったのに」

「かけられるわけないでしょ。あんないちゃついてたのに」

「いちゃ……っ!」


 反論しようと思うのだが、何か言ってもまた何か言い返されるのが目に見えている。諦めてため息をつく。


「にしても、今どきあんな男いないわよね」

「……あんな男って、卓哉くん?」

「他に誰がいんのよ」

(まぁそうか。文脈的に)

「律儀っていうか誠実っていうかさ。あんたいい男捕まえたわね〜」

「やめてよ、そんな言い方」


 まるで真紀が引っかけたような言い方だ。
 口を尖らせると、佳奈は「ごめんごめん」と笑いながら謝った。

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あきゅろす。
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