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「突然話し掛けた俺も悪かったし。あ、俺、長島嵐。よろしく」

「あ、長谷川真紀です。よろしく……」

「あーそんな気ぃ遣わなくていいよ。俺ら同級生なんだし。あ、ねぇねぇ、メアド教えてくれない?」


 笑顔だけど少し強引な嵐に、真紀は戸惑う。
 新しいクラスの友達第一号なのだから喜ぶべきなのだが、どうにもノリについていけない。


「ダメ?」

「あ、えと……」


 とりあえずメアドくらいならいいか、と鞄に手を入れたところで、また別の声がかけられた。


「嵐、あんま困らせんな」


 低く、でも落ち着いた声に顔を上げると、そこには背の高い男子生徒が立っていた。
 切れ長の目が冷たい印象を持たせるが、その言葉は優しかった。


「えー別に困ってないよなぁ、真紀ちゃん?」

「え、えっと、あの……」

「ほら見ろ、困ってる」


 なんと言うべきか迷っていると、前にいた男子が助け船を出してくれた。


「ちぇ〜。じゃ、また今度教えてね」


 嵐はそう言うと席を立ってどこかに行ってしまった。

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