・17
「まぁいいや。真紀のお手つきなんてもらってもしょうがないし」
「おてっ……!」
どういう意味、と問おうとして佳奈の視線に射止められた。何でも見透かすような、鋭い目。
「私が気付かないとでも思ったの? あんた芳賀くんのこと見ようとしなかったでしょ」
意識してやっていただけに反論できない。
「経験値少ないくせに下手なことすんじゃないわよ。こちとら場数踏んでるんだから」
「……自慢?」
「ただの事実」
はぐらかそうとしているのがバレバレなのか、佳奈は目を反らそうとしない。
真剣な眼差しについに口をつぐむと、ふいに佳奈は視線を反らした。
「そんなわけだから安心しなさい。もう誘ったりしないから」
「…………」
俯く真紀の背中を軽く叩いて、佳奈は前を向いた。
「ま、新しい旦那がいるんだから今更昔の男なんか出てきても興味ないか」
「昔の男?」
「元彼でしょ?」
首を傾げたら、傾げ返された。
真紀は静かに首を横に振った。それを見て佳奈は目を丸くした。
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